"断髪の夜に消えた七年目の花嫁" 第10話
昭男はバツが悪そうに顔を背け、「無くなったらもらいにけばいいだけの話だ、したことじゃない」と吐き捨てたが、その声にはらかな揺が混じっていた。
翌、美結のスマートフォンに本の話が入った。学の推薦枠で応募し、最終面接までんでいた報発信企業の事部からだった。
「はい! 林美結です! 入社の件でしょうか?」
弾んだ声で答えた美結に対し、受話器の向こうの採用担当者の声は、氷のようにたかった。
『林様。変申しげにくいのですが、今回の採用は見送らせていただくことになりました』
美結の笑顔が凍りついた。
「え……? 見送り……? どうしてですか! 最終面接も通過して、内定確実だって言われていたのに!」
『……弊社のネット報審査において、貴方が投稿された極めて適切な画を確認いたしました。無許でご族の無惨な姿を撮し、らかに衆の嘲笑を誘う内容です。の尊厳を踏みにじるような為を面がる方に、弊社の報発信やカメラを任せることはできません』
「あ、あれは姉です! ただの族の冗談ですよ! 刻なものじゃありません!」
『ご族だからこそ、その痛みを閲覧数や儲けの具にしてはならないのです。画はすでに削除されたようですが、魚拓や転載が拡散され、弊社のコンプライアンス基準に抵触しております。
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失礼いたします』
ツーツーという無質な切断音がに響く。 美結は呆然とち尽くし、からスマートフォンを取り落としそうになった。
「嘘でしょ……企業はもう、私を雇ってくれない……?」
気らしにへた美結だったが、駅のカフェのを通りかかった瞬、すれ違った女子のグループがち止まり、ひそひそとスマートフォンを向けながら笑い声をげた。
「ねえ、見て。あの子、姉の髪切って炎したやつじゃない?」 「うわ、本じゃん! マジでいるよ」 「撮るなよー、悪霊が移るってw」
「撮らないでよ!」
美結が叫ぶと、女子たちはせせら笑った。
「うわ、自分はの無惨な姿をネットに晒して笑ってた癖に、自分が撮られるのは嫌なんだ? 泣きそうな顔してんじゃん、泣く方が面いのにねー!」
通り過ぎる々の線が、無数の針のように美結の全に突き刺さる。 の嘲笑に晒されることが、これほどまでに恐ろしく、惨めで、息が詰まるものだとは、美結はまれて初めてった。
方、関のプロジェクトは正を迎えていた。 役員会を翌週に控え、任の社が察に訪れていた。フロアに苦しい空気が漂う、社が険しい顔で捗管理表を睨みつける。
「林マネージャー。契約では、今が全システムの納品のはずだ。だが、現完成しているのは基幹のコア能だけじゃないか。
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これでどうやって役員会を納得させるつもりだ」
同僚たちが固唾を呑んで見守る、織は歩にみて、元のタブレットを淀みなく操作した。
「社。来週曜の役員会で求められているのは、全能のコード量ではありません。役員の方々が確認したいのはただつ、『このシステムが本当に自社の業務に耐えうるか』という点です。現実装されているコア能を用いて、実際の業務フローを再現したインタラクティブなデモ環境を構築いたしました。この実プレゼンをえば、システムの用性と将来性を確実に証できます。承認に響しない補助能は、来週曜までにすべて完させます」
「……現でのデータ連携を求められたらどうする?」
「すでに過か分のテストデータを用い、完全な性を確認済みです。今すぐ、こちらでお試しいただけます」
織が差しした画面には、美しく理されたダッシュボードと、エラーつなく滑らかに処理されるデータフローが表示されていた。 社の厳しい表が、次第に驚きとへと変わっていった。
「……見事だ。このデモなら役員会を通せる。林マネージャー、君の計画通りにめてくれ」
社がフロアをった瞬、スタッフたちから斉に歓声と拍が沸き起こった。
藤堂蓮がコーヒーカップをつに持ち、織のデスクへと歩み寄ってきた。