"「部屋はどこでも同じ」と1800万奪った息子の妻" 第13話
息子は度も私と目をわせようとしなかった。 ただ、膝のに置いた両の拳を刻みに震わせ、力なく頷くだけだった。
「……はい」
「千代さんの自宅売却代千百万円のうち、美さんが弟の会社へ正に送した百万円については、美さん本および弟の亮太氏に対する当利得返還請求の続きをめます。そして残りの百万円のうち、健さんご自のカード決済および活費の補填に充てられた百万円。これについては、健さんが全額を個債務として承認し、千代さんへ分割弁済するを作成しました」
杉先が差ししたのは、公証役で確定付を取るための「債務承認弁済契約」だった。
毎万円。 息子の与座から、千代の座へ毎に自で送される仕組み。 滞納が回続いたは、即座に料の差押えに移する執受託文言付きの厳しい条項だった。
「……万」
息子が掠れた声で呟いた。
「母さん……取り万の俺から、毎万も引かれたら……賃を払って、費を払ったら、元にほとんど残らないよ……」
「の丈にわない級計を売りなさい」
私の声は、自分でも驚くほど平坦だった。
「ゴルフの会員権も解約して、具を全部リサイクルショップへ持ってきなさい。お父さんはね、、本の万を壊れるまで使い続けたよ。
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あんたがやってきたのは、親の血を啜って着飾るだけの、のない見栄だったのよ」
息子は両で顔を覆い、肩を激しく震わせた。 だが、もうその涙に胸が痛むことはなかった。
ペンを握る息子の指先が、カタカタと音をてて震えていた。 やがて、諦めたように、契約の署名欄に自分の名をき込み、朱肉をつけた認印を押し当てた。 カツン、と乾いた音が、静まり返った部に響いた。
「……母さん」
続きを終え、事務所のエレベーターホールに向かう途、息子がすがるように私の袖にを伸ばしてきた。
「美とは、もう婚を提に別居が決まったよ。あいつは実の親とも絶縁状態になって、今はパートを増やして亮太の借の始末に追われてる……。俺も、あのアパートを引き払って、いワンルームに移るつもりだ」
「そう」
「なあ、母さん。俺たち、もう度やり直せないかな……。めの2LDKでも借りてさ、母さんとで暮らせば、賃も浮くし……俺が母さんの面倒を見るからさ……」
どこまでも、自分の活費のことしか考えていない。 甘やかして育ててしまった、私の最の過ちが、目のでれにをげていた。
私は、息子のを静かに、しかし迷いなく振り払った。
「健。度と、あんたの居に入るつもりはありません」
息子が弾かれたように顔をげた。
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「私はもう、あんたの母親としてきるのをやめました。これからは、ただののとして、自分のをきます。おは、毎きっちり座に振り込みなさい。遅れたら、容赦なく裁判所へきます」
息子の瞳から、完全にが消えった。 いたエレベーターの扉の向こうへ、私はでを踏み入れた。 閉まりゆく扉の隙から見えた息子は、を見つめたまま、度と顔をげることができなかった。
そのの午、私は産を回り、郊の静かな宅にあるシニア向けの賃貸アパートを契約した。
築だが、内は綺麗にリフォームされ、段差のないバリアフリー仕様になっている。 畳の居に、さなキッチンと清潔なユニットバス。 当たりだけは抜群で、側の窓からはの緑が見えた。
敷と礼を払い、元の通帳に残ったのは数万円。 持ちになれたわけではない。 失われた千百万円のうち、美さんと弟に流れた百万円は、弟の破産続きによって全額の回収は絶望だと弁護士から告げられていた。 美さんからも、分割でしずつ回収していくしかない。
それでも、私のは驚くほど軽かった。
引っ越しの翌、私は駅のさな具へ向かった。 誰の指図も受けず、誰の嫌も伺わず、ただ自分のためだけに選んだもの。
無垢のオーク材で作られた、掛けのさなダイニングテーブルと、背もたれのしっかりした脚の子だった。