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"「部屋はどこでも同じ」と1800万奪った息子の妻" 第9話

「私はすでに、弁護士の先に正式に委任状を渡してあるわ。預けた千百万円、全額の返還を請求します。円たりとも、あなたたちにくれてやるつもりはありません」

「ば、弁護士……!? 母さん、正気かよ!? 実の息子を訴える気か!?」

「訴えるわよ。あなたたちが私のを奪ったんだから」

「やめろ! そんなことされたら、俺の会社でのが……!」

息子の喚き声がピークに達した瞬、私は親指で画面の赤いボタンを迷いなくタップした。

通話が切れた。 部のに、完全な静寂が戻ってきた。

窓のでは、夕が沈み、群青の夜がを包み込もうとしていた。 私のはもう、微も震えていなかった。

たくなったペットボトルのお茶をみ、私は机のの弁護士の名刺を引き寄せた。 戦いは、ここからだ。

翌朝、私は指定されたに、駅の法律事務所のいドアを押した。

迎えてくれたのは、昨相談に乗ってくれた初老の弁護士、杉先だった。 応接の革張りのソファに腰をろすと、えた緑茶がされた。 湯みを持つ指先が、まだわずかに張っている。

「千代さん、昨夜は眠れましたか」

「もできませんでした。……でも、は驚くほど冴えています」

私はバッグから、昨印刷した通話履歴の画面と、健とのやり取りをすべて机のに並べた。

「息子から昨晩、連絡がありました。

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居の契約は、やはり解除されていました。そして……千百万円のうち、なくとも百万円が、息子の妻の弟の会社へ流れていました」

杉先は表を変えず、静かに頷いた。

「なるほど。予通りの展ですね。ですが千代さん、ここからが正です」

先は元の分いファイルをめくりながら、ペンを取った。

「本の民事裁判では、『私のを売っただから返せ』という論は通用しません。法に必なのは、あの千百万円がどういう名目で渡されたのか、そして相方がそれをどう違法に費消したかの証です」

先の目が、鋭くった。

「幸いにも、健さんから千代さんに送られた『母さんの千百万は居のにする。持分登記も母さん名義を入れる』というメッセージ。これが決定打になります。これは銭消費貸借、あるいはなくとも持分取得を条件とした特定の信託委託契約の証拠になる。贈与ではありません」

「あの子たちは……親のは最初から息子のだと言い放ちました」

私の声は、く沈んでいた。

「ええ。世にはそういう甘えた考えの子供がほどいます。しかし、親と子は法には完全に別個の独した格です。親の財産を子が勝に費消する権利など、本の法律のどこを探してもしません」

杉先はちがり、枚の面を差しした。

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「本付で、健さんと美さんの連名宛に、内容証郵便を発送します。千百万円全額の即返還請求、および使途の示請求です。配達証付きで、の午には届きます」

内容証郵便。 赤い文字で記されたその言葉のみに、私の胃の奥がキュッと縮んだ。

もう、戻りはできない。 育ててきた息子に、私は法な刃を突きつけるのだ。 だが、悔はなかった。 あのリビングでパイプベッドを雑物のように納戸に押し込まれた瞬から、私と彼らのにあった「」は、綺麗さっぱり消え失せていたからだ。

「先、もうつ……調べていただきたいことがあります」

「何でしょう」

「弟に渡った百万円のに……残りの百万円は、体どこへ消えたのでしょうか」

私の胸の奥に引っかかっていた、黒い澱のような違。 美さんは話で「残りはこっちでうまくやりくりする」と言っていた。 築マンションの付は、せいぜい百万円から百万程度のはずだ。 では、残りの百万円くは、どこにあるのか。

杉先は鏡の位置を直すと、静かに言った。

「それも含めて、座の取引履歴の示を迫りましょう。隠し通せるものではありませんよ」

翌の午。 事務所からの内容証郵便が、息子たちの賃貸マンションに届いたはずの刻を過ぎた頃だった。

私のスマホが、狂ったように震え始めた。

画面には『健』。

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