"産後5日の病室で、娘を奪う義母が夫を殴りつけた" 第7話
「……健太さん」
沈黙を破ったのは、髪交じりのスーツ姿で入ってきた病院の事務だった。 元には、患者カルテと病院の顧問弁護士から送られてきたらしい規約のバインダーが握られている。
「先ほどナースステーションで論になっていた件について、事実確認をさせていただきます。こちらの男性から『300万円で乳児を引き渡す約束をしていた』という証言がていますが、これは事実ですか?」
事務の鋭い線が、健太を射抜いた。
健太はビクッと肩を揺らし、線をテーブルの目に落としたまま、唾をみ込んだ。
「ち、違います……! で売ったなんて、そんな聞きの悪い言い方はしてません!」
「聞きの悪い!?」
スーツ姿の男性が、静かだがりを孕んだ声で遮った。
「健太さん、あなた先週、私の事務所で何と言いましたか? 『妻は度の産鬱で、族会議の結果、子供の将来のために裕福で温かい庭へ養子にすことを決断した』と、そう涙ながらに語ったのはどこの誰ですか?」
「それは……養子縁組の相談をしていただけで……」
「相談?」
男性は笑を浮かべ、テーブルのに自のスマートフォンを置いた。 画面がタップされ、スピーカー通話の音量があらかじめ最に設定される。
「私たちは、5の妊治療の末に子供を諦め、民の特別養子縁組斡旋団体を通じて里親登録をめていました。
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そこに、健太さんから直接コンタクトがあったんです」
男性の言葉に、私は息を呑んだ。 直接のコンタクト? 健太が、自らアプローチしたというのか。
「健太さんは『妻の実が経営破綻し、産費用どころか当面の活費すら底をついた。妻自も精神に追い詰められ、子供を見るのも辛い状態だ』と説しました。そして、児童相談所や公関を通すと続きに何もかかり、そのに子供が乳児院へ送られてしまうから、産まれた直に直接引き取ってほしいと」
「全部、嘘です……!」
私は絞りすような声で叫んでいた。
「私の実は破産なんてしていません! 私も、娘を放したいなんて度も言ったことはありません! このが、全部勝に……!」
「ええ、今なら分かります」
隣の女性が、ハンカチで目元を押さえながら、震える声でをいた。
「私たちは……本当に子供を望んでいました。健太さんが提示してきた条件があまりにも具体で、病院名も、産予定も、帝王切の程すら正確だったから……疑う余もなかったんです」
女性はバッグから、綺麗に製本されたファイルを取りした。
「300万円は、法な続き費用、ならびに奥様の入院・産にかかった医療費と、産の療養支援という名目でした。私たちは、困窮しているご夫婦を支援し、ので命を救うのだと……そう信じ込まされていたんです」
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テーブルの央に、ファイルがかれた状態で差しされた。
そこには、健太とこの夫婦とので交わされた、半に及ぶメッセージの履歴が印刷されていた。
付は、今から半。 私がひどい悪阻で入院し、健太が度も面会に来なかったあの期だった。
画面を印刷したのには、健太のアカウントから送られたおびただしい数の文面が並んでいた。
『妻の鬱状態が悪化しています。子供に対してが持てないと言いしました』 『妻から署名をもらったの写真です。退院に必ず引き渡すと約束しています』 『当面の活費と医療費として、付の振り込みをお願いできますか』
添付されていた写真には、私の跡を巧妙に真似た『子供の養育を委託する同』が写っていた。 さらにスクロールされたページには、メガバンクの振込受領証のコピーが貼り付けられていた。
【受取:サトウ ケンタ】 【額:¥3,000,000-】 【振込:1012】
私の帝王切が決まった、まさにその週だった。
喉の奥がヒリヒリと焼き付くように痛んだ。 私が術で半麻酔を打たれ、恐怖で震えながらお腹を切られていたあの。 健太は私のを握ることもなく、待の片隅でこの300万円の着を確認していたのだ。 そして、退院のにわせてこの夫婦を呼びし、私を追いした直に娘をキャリーに入れて渡すはずをえていた。