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"産後5日の病室で、娘を奪う義母が夫を殴りつけた" 第4話

ふわりと漂う、ミルクの甘い匂い。 私は痛む傷も忘れ、本能のままに両腕で娘をく、く抱きしめた。 腕ので、娘が「ふぇ……」とさな声を漏らす。

義母は私を庇うようにそのにちはだかった。 さっきまで私を罵り、から追いそうとしていた女の姿はそこにはなかった。 だが、それは決して、私へのや改からたではなかった。

義母が守ろうとしたのは、「うちの孫」——自分の血を分けた跡取りという、自らの所物だったのだ。 息子の嫁を追いし、自分が母親代わりに孫を元で育てるつもりだった義母にとって、孫が見らぬのに渡り、度と会えない所へ連れられるという現実は、耐え難い裏切りだったのだ。

義母は肩で息をしながら、ゆっくりと振り返った。 その線の先には、壁際に追い詰められた息子の健太がいた。

「健太」

をうような、恐ろしい声だった。

「あんた……何をしたの? 私の孫を……うちの跡取りを、赤のに売りばしたの? のために……あんた、自分の娘を売ったの!?」

「母さん、違うんだ、これは……」

健太が弁解しようとをげた、その瞬だった。

——バチンッ!!!

乾燥した病棟の空気を引き裂く、凄まじい炸裂音が響いた。

義母のの平が、健太の頬を真横から捉えていた。 加減の切ない、全の体を乗せたビンタだった。

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健太の顔がきく歪み、勢い余ってサイドテーブルに腰を打した。 テーブルののステンレスのトレイが派な音をててに落ちる。

「あんたじゃないわ!!」

義母は拳を握りしめ、喉を引き裂くように叫んだ。

「どれだけ私が楽しみにしていた孫だとってるの! 私のきがいを奪う気!? 300万ぽっちののために、この子を売りばすなんて……! 親の顔が見たいわ、けない! この馬鹿者が!!」

義母の切り声が、静まり返ったフロアに虚しく反響する。 周囲で見守る助産師たちも、息を呑んでちすくんでいた。

健太は殴られた頬を掌で押さえたまま、に線を落としていた。 ボサボサの髪のから、赤く腫れがった皮膚が見える。 その肩が、刻みに震えていた。 反省しているのではない。 恐怖に怯えているのでもない。

次の瞬、健太はゆっくりと顔をげた。 その瞳には、今まで度も見せたことのない、暗く濁ったどす黒いりが宿っていた。

「……何様だよ」

く、押し殺したような呟きだった。

「え……?」

義母が眉をひそめる。

健太は元の端を吊りげ、歪んだ笑みを浮かべた。 そして、突如として喉が張り裂けんばかりの声で鳴り返した。

「何様なんだよ、あんたは!! どのがそんな綺麗なこと言ってんだよ!!」

健太の剣幕に、義母が歩ずさりする。

「母さん、あんた今、俺がのために娘を売ったって言ったよな!? けない馬鹿者だって言ったよな!?」

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健太はに唾を吐き捨て、義母を指差した。 その指先が、りで激しく震えている。

「じゃあ聞くけどさあ! その300万、俺が誰のために作ったとってんだよ!!」

病の空気が、再び張り詰めた。

「な、何を言って……」

「とぼけんじゃねえよ!!」

健太は歩、歩と義母に詰め寄った。 の男の威圧に、義母の顔から傲さが完全に消え失せ、純粋な恐怖のが浮かぶ。

「2だよ! あんたが所の怪しい投資セミナーに引っかかって、親父の遺産も自分の退職も全部溶かした挙句、親戚にバレるのが怖くてコソコソから借したんだろうが!!」

義母の息が止まった。 目を見き、をパクパクと魚のようにかすだけで、声がてこない。

「誰が毎、取りての話に怯えて俺のところに泣きついてきた!? 『健太、助けて、所にバレたらきていけない、世体が悪い』って、泣いてすがりついてきたのはどこの誰だよ!!」

健太の暴は止まらなかった。 病棟の廊に、自分たちの庭の最も醜い膿をぶちまけていく。

「俺ので、あのバカい利息が払いきれるわけねえだろ! 最初のうちは俺のカードローンで穴埋めしてたけどな、それもとっくに限度額なんだよ! 自転操業で、もうどこからもが借りられねえんだよ!」

「け、健太……やめなさい、で何を……」

「やめるかよ! あんたが作った借だろうが!!」

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