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"身代わり花嫁と一千万円の通帳" 第16話

誠治さんは午に起きし、息をく吐きながらスコップで玄関のをかき分け、それから施設へと勤していった。私も見よう見まねでアルミのスコップを握りしめ、たいを掻きして、までの細い通を必に確保した。

台の温な気候しからなかった私にとって、の町のの厳しさは、像を絶するものだった。

そして、寒さ以に私のをじわじわとすり減らしていったのは、切迫していく計の現実だった。

私は嫁いできた初から、ノートを冊用し、そこに円単位の計簿を几帳面に記録していた。の事務職で伝票と帳簿を扱い慣れていたため、数字を理すること自体は苦にならなかったが、ページをめくるたびに、赤いボールペンでき込まれる支の数字がだるま式に膨らんでいった。

計を最も烈に圧迫したのは、油ストーブの灯油代だった。

築の造平は、あちこちの建付けに隙があり、断材も入っていないため、のは居のストーブを微運転で焚き続けていなければ、内でも息がくなり、管が凍結してしまう。リットルのポリタンクが、週も持たずに空っぽになってしまうのだ。当の灯油価格は騰しており、タンク本を満タンにするだけで千円以が消えていった。

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さらに、豪帯を歩くための頑丈な防寒靴や、のダウンコートも購入しなければならなかった。実から持ってきたのウールコートでは、商までの往復分のに体の芯までえ切り、激しい悪寒に震えることになったからだ。

加えて、夜勤をこなす誠治さんのために、栄養バランスの取れたお弁当と、夜用のきなおにぎりを持たせることも私の切な課だった。過酷な現で命を削って働く夫に、粗末な事を持たせるわけにはいかない。

私は、自分のきりの昼を、夜の残りのやご飯にたくあんを切れ乗せただけの粗で済ませ、浮いた費をすべて誠治さんのお弁当の肉や卵のおかずに回した。

そして――何よりも私の首を真綿で絞めるように苦しめたのは、の末にかかってきた、実の母からの話だった。

『遥、お父さんの血圧の持病の薬代やら何やらでね、今は々と物入りなのよ。……毎、万円ずつ実へ仕送りしてくれないかしら?』

「……えっ? でもお母さん、私、今は仕事を辞めて専業主婦だし、自分のお料はないのよ?」

『何を言ってるの! 倉田さんから毎活費をもらっているんでしょう? あなたは今まで以も実でタダ飯をわせてもらっていたんだから、親孝として万円くらい面するのが娘としての当然の義務でしょうが!』

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母は私の反論を言も聞こうとせず、方に郵便局の座番号を読みげて話をガチャリと切ってしまった。

私は、嫁入り具の支度という名目で母に奪われた百万円の返還を求める勇気もなく、結局、末、末、そして末と、自分の元に残されていたわずか万円の個貯のから、毎きっかり万円を実へと振り込み続けた。

の話で、母はさらに無邪気な残酷さを乗せしてきた。

『也がね、今度お付きいしている貿易会社の御曹司のご両親と、級料亭でお事会をすることになったのよ。お見い用のお品な訪問着を調しなきゃいけないし、何かと物入りで変なの。遥は田舎でおを使う所なんて何もないでしょう? もうしめに送れないかしら?』

受話器の向こうから、「お母さん、くしてよー! エステのに遅れちゃう!」と甘えたような姉の声が響いてきた。

母は「じゃあ、よろしくね」とだけ言って話を切った。ツーツーと鳴る受話器をに押し当てたまま、私はえ切った台所でち尽くし、奥歯をギリギリと噛み締めた。結局そのも、を削るいでいつもの万円を面するのが精杯だった。

ある吹の、私は空になったリットルの青いポリタンクを、かき用のプラスチック製のソリに括り付け、町のガソリンスタンドまで歩いて灯油を買いにった。

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