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"身代わり花嫁と一千万円の通帳" 第4話

と、当然のことのように微笑んだ。

私は結局、元の公を卒業し、自宅から原付き自転で分ほどの距にある、さな設備事会社に般事務として就職した。

社と経理を担当する社夫、そして油と汗にまみれて現を駆け回る職さんがだけの、絵に描いたような零細企業だった。私の仕事は、鳴り止まない黒話を取って現を回る職たちの無線へ連絡を繋ぎ、きの作業伝票を項目ごとに仕分け、末には何枚もの請求をきで作成することだった。

そしてもうつ、私の切な課となっていたのが、現から埃まみれになって戻ってきた職さんたちに、いお茶を淹れて差しすことだった。

お茶の淹れ方を私に徹底して教えてくれたのは、父方の祖母のフミだった。

フミは父の実母であり、私が学にがる頃から、望の平の奥にある畳のでひっそりと暮らしていた。母からは「お義母さん」と呼ばれながらもどこか煙たがられ、姉の也からは「古臭くて言ばかり言うおばあちゃん」と敬されていたが、私にとってフミだけが、このたいので唯、私というそのものを温かく見つめてくれるの拠り所だった。

フミは台所の隅にあるさな箪笥のに、自分専用のさな常滑焼の急須を切に置いていた。

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茶褐で丸みを帯びた、注ぎの先がほんのしだけ欠けている古い急須だった。

「遥、お茶を入れるはね、むの『』をよく見て入れるんだよ」

学から帰って宿題を終えた夕暮れ、祖母はよく私を畳のに座らせて、そう優しく説いて聞かせてくれた。

「真の寒いが吹くから帰ってきたのはね、かじかんで真っになっている。だから、お茶はめにして、両で湯呑みを包み込んだにじんわりと温もりが伝わるようにしてあげるんだ。でもね、い荷物を運んだりして疲れてが刻みに震えているには、お茶をなみなみ注いじゃいけない。湯呑みの分目までにして、持ちやすいように絵柄や取っの向きをそのの利きに揃えて差しすんだよ。仕事で急いでいるには、いお茶をしたら傷してしまうだろう? し湯ましをして、ぬるめにして気に喉を潤せるようにしてあげるんだ」

学だった当の私には、その教えのさを完全に理解することは難しかった。けれど、夕暮れの暗い台所で、祖母の皺だらけの温かいの横に並んでさな湯呑みを拭きげるは、私が自分のを肯定できる唯の穏やかなひとときだった。

祖母は、私が淹れたお茶を両で受け取ると、必ず茶のを確かめるように目を細め、湯気を吸い込んでから啜った。

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「ああ……遥の淹れてくれたお茶は、本当に角がなくて、優しいがするねえ」

その言をにするたび、私の胸の奥に澱のように溜まっていた寂しさが、の解けのようにすうっと消えていくのだった。

会社に入社してからも、私は祖母の教えを忠実に守り続けた。

凍てつく真の朝、配管の凍結修理から凍えたで戻ってきた職さんには、湯で濃いめに抽したばしいほうじ茶をし、真の炎でだらけになって管を掘り起こしてきた職さんには、蔵庫でやしておいた麦茶のグラスに滴を拭って渡した。

職さんたちが、私のその細やかな気配りに気づいていたかどうかは分からない。彼らは荒っぽいつきで湯呑みを受け取ると、「おう、遥ちゃんありがとよ!」とく礼を言い、すぐに次の事の図面を広げて煙の煙をくゆらせるのが常だった。けれど、それで分だった。私は誰かに褒められたくて、あるいは自分の評価をげたくてお茶を淹れていたわけではなかったからだ。

社夫だけは、折私の元をじっと見つめて、「遥ちゃん、あなたは本当に気の利く良い子ね。たまには休暇でも取って、都会のデパートへお買い物にでもって息抜きしておいで」と優しく声をかけてくれた。

けれど、私が会社で休暇を申請するのは、祖母の病院の定期検診に付き添うか、あるいは姉から「成田空港までで迎えに来て」

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