みかん小説
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"母の友達" 第6話

見違いのないよう、本が受け入れるまでねて話す』

『平成 運会終。悠介、母の姿を探したと言う。テントのろからを振っていたと説。納得。夜、恵に当のプログラムの詳細を伝達。悠介の話にわせるよう指示完』

血の気が引いていくのが分かった。 文字を追う目が震え、ノートを持つ指先から体温が奪われていく。

運会。 私が徒競で位になり、本部席のいテントに向かってを振った記憶。くで、母が米のカーディガンを着て、さくを振り返してくれた――あの確固たる景。

あれは、父がから私に「教え込んだ」記憶だったのか。

ノートのページをめくるが止まらない。 そこには、私が子ども代に経験した数々の来事と、それに対して父が施した「訂正」が、徹な業務誌のように記録されていた。

『 悠介、階押し入れで子猫を隠しているのを発見。佳代さんが保護。保健所ではなくりいの農に譲渡の配を済ませたとのこと。 悠介には猫の件には切触れず、何事もなかったとして処理。母が引き取らせたという形にえる余あり。まずは自体を忘れさせる』

猫の件までもが、そこにかれていた。 母が病院へ連れてったのではない。見つけて配したのは、佳代さんだったのだ。

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父は、母の病気を隠したかった。 妻が精神を病み、庭を維持できなくなっているという事実を、所にも、親戚にも、学にも、そして何よりも息子である私にられることを、病なまでに拒絶していたのだ。 そしてその体面を守るために、佳代さんというをのに引き入れながら、彼女のを私の認識から組織に消し、母の記憶をきし続けていた。

階で、ガタゴトと物音がした。 勝がく音。続いて、く押し殺した話し声が聞こえてくる。

「……来てくれたのね」 母の声だった。

「遅くなってごめんなさい。役所の窓、ったより混んでて」 佳代さんの声だ。

私はノートを抱えたまま、音をてずに階段をりた。 居の引き戸がわずかにいており、のが廊に漏れていた。

卓のに、茶封筒からされた何枚かの類が広げられていた。 母と佳代さんが、を寄せうようにしてその類を覗き込んでいる。の表には、昼のあのよそよそしい演技は微もなかった。

「……やっぱり、このもてるわ」 佳代さんが指先で類のをなぞりながら、い声で言った。 「私、この週は度も瀬さんちに来てない。実の母の術で、週お休みをもらったはずなのに。ほら、私の印鑑が勝に押してある」

「お父さんね」

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母が呟いた。その声には、しみというよりも、吐き気をもよおすような侮蔑が混ざっていた。 「全部、お父さんの字だわ。あなたが毎来て、私がも事をしていないことになってる。……こうやって、何にも類を作って、申請をしてたのね」

私は引き戸をい切りけた。

バン、とがぶつかる音が響き、が同にねがるようにこちらを見た。

「悠介……」 母の顔から血の気が失せた。

私はにした冊のノートを、のの卓へ叩きつけた。 類の片がい、ノートが鈍い音をてて止まる。

「これ、何なんだよ」

喉の奥から絞りした声は、自分でも驚くほど震えていた。

「悠介のための訂正ノート? 運会も、猫も、母さんが具悪かったことも……全部、父さんが作った嘘だったのか? 佳代さん、あんた誰なんだよ。母の友達なんかじゃないだろ。に、こので何をしてたんだ」

佳代さんはノートの表を見つめ、それからゆっくりと息を吐きした。 怯える様子はなかった。ただ、ずっと先送りにしていた厄介な荷物を、ようやく目のに置かれたかのような、静かな覚悟の目だった。

「……悠介さん。座りなさい」 母が言った。だが、その声は々しかった。

「座れるわけないだろ! 説してくれよ! 僕が信じてた僕のは、全部父さんの捏造だったのか? 母さんも共犯だったのかよ!」

「共犯?」 母の目が、すっと細くなった。 昼の怯えや困惑は消え失せ、え切った刃のようなが宿っていた。

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