みかん小説
本棚

"結婚5周年、夫が義妹と泊まった1708号室" 第13話

私は玄関に向かって歩きした。

「鈴がどうして、を切断された男と緒にいたがったのか考えてみてください」

佐藤をると、伊藤剣はきく息を吐きした。

「すっきりしたな。でも、本当に妥協するとうか?」

「しないわ」

私は助席に座り、シートベルトを締めた。

「彼女はこれから3つのことをするはず。弁護士を探すこと、残りの財産を隠すこと。それから……」

私はルームミラーに映る、追いかけてきた佐藤の姿を見た。

「私の両親のところへくことね」

案の定、に着くとすぐに母から話があった。

泣き声が混じっていた。

「ゆい、義理のお母さんが急にに来て騒いでるの。あなたがひろしを障害者にして財産を奪おうとしてるって」

「お母さん」

私は彼女の言葉を静に遮った。

「ひろしは弟の嫁の鈴と2も浮気していて、彼女に4000万円以のまで買ってあげたの。しかも全部、私たちの共財産を使ってね」

話の向こうで、数秒の沈黙があった。

「本当に?」

「ええ。遺伝子検査もしたわ」

私は落ち着いた声で言った。

「鈴は妊娠8週目だったけど、子供はひろしのじゃないの」

母の声は、瞬にしてたくなった。

「すぐにお父さんを呼び戻すわ。あの姑さん、まだリビングに座り込んでるんだけど」

「伝えて」

私は笑した。

「これ以嫌がらせをするなら、佐藤ひろしと鈴の画をネットにばらまくって」

広告

話を切り、私は疲れ切ってソファに倒れ込んだ。

スマホがまた鳴った。

見らぬ番号だった。

「もしもし」

「藤原ゆいさんですか?」

若い女性がおずおずと尋ねた。

「私は鈴の妹の鈴なつです」

私はすぐに起きがった。

「用件は?」

「姉が伝言を頼んできたんです」

女の子の声は震えていた。

「あのマンションは義母さんがおをしたもので、あなたには関係ないって。もし訴えを取りげないなら、あなたがわざと薬をすり替えてを傷つけたことを暴するって」

私は笑った。

「姉さんに伝えて。私の元には、彼女と佐藤ひろしの画があるわ」

私はソファにく寄りかかった。

「彼女がネットの気者になるには、分すぎるほどのね」

私はし言葉を区切った。

「それからもうつ伝えて。子供の本当の父親は、彼女の子宮が摘されたことをってるのかしら」

話の向こうで息を呑む音が聞こえ、すぐに切られた。

スマホを置いた、突然SNSの友達リクエストがび込んできた。

メッセージ欄にはこうかれていた。

『佐藤ひろしの件について、真実をりたいですか?』

曜の朝、会社のロビーに入ると、無数の線が針のように背に刺さるのをじた。

受付の女性は私を見ると瞬笑顔を引きつらせ、そのうつむいて忙しいふりをした。

エレベーターのでマーケティング部の吉田は隅に縮こまり、目はスマホの画面に釘付けだったが、指はせわしなくいていた。

広告

私は彼が何を見ているのかっていた。

昨夜、京の持ちの薬物事件がネットのトレンドランキングに踊りたのだ。

「藤原部……」

吉田は言葉を濁した。

「うん」

私はエレベーターの鏡に向かって襟を正し、彼の異変に気づかないふりをした。

「な、何でもないです」

彼は爆弾でも扱うかのように、素くスマホを鞄に突っ込んだ。

エレベーターが28階で止まった。

私がデザイン部に向かって歩きすと、本来なら騒がしいはずのオフィスが瞬にして静まり返った。

20数名の従業員が斉に私を見て、そしてまた斉に俯いた。

アシスタントの佐々が急ぎで駆け寄ってきた。

「藤原部、部が社したらすぐに部へ来るようにと」

私は頷き、鞄を自分のオフィスに置いてガラス扉に向かって表をえた。

ガラスに反射した女の顔はしやつれていたが、差しは1ヶよりも鋭くなっていた。

部のオフィスのドアは半きで、私が2回ノックするとすぐに「どうぞ」と々しい声が聞こえた。

「藤原君、座って」

部は50代で普段は穏やかなだが、今はしきりにを擦りわせ、線が定まっていなかった。

「あの、最はどうだい?」

私は単刀直入に言った。

「部、会社は私を職にしたいんですか?」

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: