"6年介護した義父から「息子を信じるな」と電話が来た" 第1話
ツーツーという無質な切断音が元で途切れた瞬、私はスマートフォンの画面を凝した。
画面に表示された見覚えのない局番。、脳梗塞の遺症を抱える義父の宅介護を続けてきた私をし抜き、に義父を施設へ制に移した夫は、「度と会いにくな」と言い放っていた。その義父から、震える声で「を売る類に署名しろと言われた」「、別の所へ連れていかれる」と助けを求められたのだ。話で響いた見らぬ男の誰何の声は、体誰なのか。
私はち尽くして震えている暇などなかった。
すぐに着信番号を指先でなぞり、通話履歴を保すると、そのまま介護認定のから越しの付きいになるケアマネジャーの川さんの携帯へ発信した。夫が義父を連れした、夫は「親父が自分で決めたことだ。おはもう関わるな」としか言わず、どこの誰に続きを頼んだのかすらかさなかった。だが、介護3の義父が正規のルートでくなら、担当ケアマネである川さんのに入っていないはずがない。
回目の呼びし音で、息を切らせた川さんの声が響いた。
「もしもし、佐藤さん? どうされましたか」
「川さん、突然すみません。お義父さんのことです。さっき、らない固定話からお義父さん本から話がありました。
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どこかへ移されると、酷く怯えていて……この番号に当たりはありませんか」
私がで話番号を読みげると、川さんは話の向こうでく息を呑んだ。
「その番号……隣町の『あけぼの苑』の相談直通です。やっぱりそこでしたか。ご主から『族で話しいがつき、急ぎでレスパイト(休止)が必になった』と連絡があって、のショートステイ枠を押さえたと報告は受けていたんです。でも、永の入所続きではありませんよ」
「ショートステイ……? 夫は『施設に移したからもう会うな』と私に言いました」
「えっ……ご主は、奥様も承のだとおっしゃっていました。それに、別の所へ連れていくなんて話、ケアプランには切入っていません。ただ、ご主が『方の民の受け入れ先を探している』と別の事業者に問いわせている形跡があって、私もちょうど胸騒ぎがしていたところなんです」
話の向こうの男の声は、連れりや夫の差しなどではなく、興奮して受話器を握りしめる義父を見咎めた施設の職員だったのだ。義父が監禁されているわけではない。だが、夫が私にすべてを隠し、義父のを無してさらにくの施設へ追いやろうとしていることは紛れもない事実だった。
「私、今すぐあけぼの苑へきます」
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「私も向かいます。ご本の確認をばした移なんて、絶対に認められませんから」
話を切り、私は軽自のキーを握りしめてをびした。
で分ほどの距にある「あけぼの苑」は、平建ての古い介護老保健施設だった。自ドアをくぐり、受付で息を切らしながら「佐藤忠雄の嫁です」と名乗ると、奥の事務から代半ばの男性職員がてきた。話で「誰に話してる?」と声をかけていた本だった。
「お話をいただいた奥様ですね。驚かせてしまって申し訳ありませんでした。忠雄さんがどうしてもお嫁さんに直接連絡したいとく希望されまして、職員の話をお貸ししたんです。ただ、ご本の血圧がかなりがっておられたので、途で制止に入ったのですが……」
「お義父さんは、無事なんですか」
「ええ、今は談話の奥で落ち着いていらっしゃいます。どうぞこちらへ」
職員に案内されて廊をみ、カーテンで仕切られた相談スペースの引き戸をけた。
そこに義父がいた。
背を丸め、子にく腰掛けていた義父は、私の音に気づくと、ゆっくりと顔をげた。脳梗塞の遺症で半に麻痺が残り、顔の半分もわずかに張っている。だが、私を捉えたその瞳には、見慣れてきた確かなが宿っていた。
認能が落ちたわけでも、判断力が鈍ったわけでもない。自分の状況をすべて理解しているの目だった。