"15年育てた妹の結婚式で、父に親族席から外された" 第5話
父は悠さんを、そして私を睨みつけた。 最の札。父親というを質にした、恫だった。
かつての私なら、ここで取り乱していただろう。 『お父さん、待って、私がするから』と、縋り付いてを収めようとしたはずだ。妹に父親のいない結婚式を挙げさせたくない、相のに恥をかかせたくない、そので。
だが、私はもう、あの頃の無力な歳ではなかった。 そして何より、私の目のにいる妹は、もう守られるだけの歳の子供ではなかった。
私はゆっくりと息を吸い込み、父の目をまっすぐに見据えた。 に任せて叫ぶ必はなかった。ただ、事実だけを、分のみを持って告げればよかった。
「お父さん」 私のい声に、父の線がこちらに向いた。 「席を決めるのは、お父さんではありません。この式は、と悠さんのものです」
「何だと……?」
「今、誰が族席に座るべきか。誰がの族なのかを決める権利があるのは、と悠さんだけです。お父さんが帰りたいなら、どうぞお帰りください。引き止めません」
私の言葉に、父は目を見いた。 まさか私が、そんな言葉をにするとはってもみなかったのだろう。父の顔が驚愕と屈辱で歪んでいく。
が、私の隣にみた。 そして、かつてないほど凛とした声で、実の父親に向かって言い放った。
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「お父さん。来てくれたことは謝してる。でもね、お父さんだからって、誰が私の族かを決める権利はないよ」
控の空気が、完全に凍りついた。 父はをわなわなと震わせ、何かを言い返そうとしたが、喉の奥から乾いた息が漏れるだけだった。 悠さんが静かに歩にて、の肩を抱き、父に対してく、だが切の妥協を許さない礼をした。
「お義父さん。席の変更はすでに式にお願いしました。挙式は分遅れで執りいます。ご列席いただけるのであれば、親族控へお戻りください」
完璧な拒絶だった。 父のプライドを々に打ち砕く、最も礼儀正しい追放だった。
父は拳を握りしめ、を、悠さんを、そして私を憎々しげに睨みつけた。 だが、誰として目を逸らす者はいなかった。 観したように、あるいはこれ以ここにいれば自分の惨めさが際つだけだと悟ったのか、父は乱暴に踵を返した。
「勝にしろ! 悔してもらんぞ!」
捨て台を残し、父はブライズルームの扉を激しく叩きつけててった。 廊に響く音がざかり、部のに再び静寂が戻った。
扉の向こうでは、すでに式スタッフたちが慌ただしくき回る気配がしていた。 親族席の卓札の差し替え、席次表の再配布、そして何より、婦側の族席の央に、私の名を戻すための準備が。
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「お姉ちゃん」 が私を振り返った。 その瞳にはまだ涙の跡がっていたが、そこにはもう迷いも恐れもなかった。
「席、戻ったよ」 「うん」 「番の、私のすぐ隣。そこに座ってね」
の言葉に、私は胸がいっぱいになりながら、さく頷いた。 だが、本当の試練はここからだった。 父が本当に式をるのか、それとも親族席に残ってさらなる混乱を引き起こすのか。そして何より、父親が婦側の親族席から消え、女である私がその央に座るという異常な景を、集まった親族やの参列者たちがどう受け止めるのか。
鏡のに映るのドレスのヴェールを、プランナーが慎にえ始めた。 挙式始まで、あと分。 、のようにきてきた私たちの選択の結末が、あのいチャペルの扉の向こうで待っていた。
控をて廊へ歩踏みした瞬、え切った空気が肌を刺した。
チャペルへと続く回廊の壁面には、柔らかな接照が灯っている。だが、そこをき交うスタッフたちの音はどれも慌ただしく、すれ違うたびに私へ向けられる線には、隠しきれない緊張と好奇が混ざりっていた。
「真紀さん」
く落ち着いた声に呼び止められ、私はを止めた。 振り返ると、チャペルの待ロビーに続くな扉のに、留袖を端正に着こなした女性がっていた。
郎・悠さんの母、恵子さんだった。