"15年育てた妹の結婚式で、父に親族席から外された" 第2話
責任者は々とをげた。 だが、彼を責める気にはなれなかった。父のがあまりにも狡猾で、あまりにもいつも通りだったからだ。
父は昔からそうだった。 正論や対話ではなく、相の番痛い部分を握り潰すことで、自分の求を通そうとする。歳のを放りそうとしたも、私の見など度も聞かなかった。
「入ってもいいですか」
私が尋ねると、プランナーは無言で頷き、い扉を静かにけてくれた。
部のは、息が詰まるほどの芳と、異様な静寂に包まれていた。 鏡のに、純のウェディングドレスをまとったが座っていた。ヴェールはまだろされていない。完璧にえられたヘアメイクので、目元だけが真っ赤に腫れがっていた。 の元には、くしゃくしゃに握りしめられた枚のがあった。今朝の席次表だった。
「」
私が声をかけると、の肩がねた。 鏡越しに私を見つめた妹の瞳から、粒の涙がぼろぼろと零れ落ちた。
「お姉ちゃん……」
はドレスの裾を踏みそうになりながら、子からちがった。シルクの擦れる微かな音が、部の空気を揺らす。私は急いで歩み寄り、え切ったの両を包み込んだ。
「丈夫だから。泣かないで。せっかく綺麗にメイクしてもらったのに、台無しになっちゃうよ」
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私は努めて穏やかな声をした。きてきて、いつのにかについてしまった『聞き分けのいい女』の笑みを張り巡らせながら。
「席のことなら、本当に気にしなくていいの。番ろの席からだって、の綺麗な姿はちゃんと見えるよ。今はと悠さんの切ななんだから。お父さんの言う通りにして、無事に式を挙げよう。ね?」
それは、この、私が数え切れないほど繰り返してきた言葉だった。 すればいい。自分が歩引けば、そのは丸く収まる。父が嫌にならず、が傷つかずに済むのなら、私が端っこにいればいいのだと。
だが、私の言葉を聞いた瞬、は私のをく握り返し、激しく首を振った。
「どうして……どうしていつも、お姉ちゃんは『丈夫』って言うの?」
掠れた声が、控の壁に鋭く響いた。
「学の、お父さんが度も保護者会に来なかったも、お姉ちゃんは『私が全部くから丈夫』って言った。の制を買うも、おがないからって自分のコートを何も着回して『お姉ちゃんは寒がりじゃないから丈夫』って笑ってた。私が学に受かっただって、本当は京の会社に転職する話があったのに断って……『元での帰りを待ってる方が楽しいから丈夫』って言ったじゃない」
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の目から、堰を切ったように涙があふれした。
「今はお姉ちゃんが番で、私のことを見てなきゃいけないなの。なのに、どうしてまたお姉ちゃんが番ろでさくなってなきゃいけないのよ! 私がすればいいって顔、もう度と見たくない!」
胸の奥の、最も柔らかい所を素で掴まれたような痛みがった。 私は言葉を失い、ち尽くした。
はっていたのだ。 私が何も言わずにみ込んできた諦めを、そのすべてを、妹はずっと見ていた。 私が妹を守っているつもりでいた歳ので、妹もまた、私の背に滲む痛みを必で見つめ、抱え込んでいたのだ。
、母が膵臓がんで急逝した、私は学をて元の事務器メーカーに就職したばかりの歳だった。 母のがけるかけないかのうちに、父は活の面倒を切見なくなった。完全に蒸発したわけではない。活費としてに数万円をリビングのテーブルに放りすだけで、夜はほとんどに帰らず、酒の匂いをさせて戻っては倒れ込むように眠るだけだった。
事のすべてが、私の肩にのしかかった。 朝に起きての朝と弁当を作り、パートタイムのような賃の入社員としてフルタイムで働き、定になると同にスーパーの見切り品売りへり、夕を作っての宿題を見た。
が夜にをせば、休暇を取りげてをげ、病院へ連れてったのは私だった。