"「ママって呼んじゃだめ」そう泣いた五歳の娘" 第7話
机のには昨の入園記録の控えが置かれていた。髪交じりの園先は、私にパイプ子を勧めると、くをげた。
「野寺さん、昨は変愉ないをさせてしまい、誠に申し訳ありませんでした」
「いえ、園の規則に則って対応されただけなのは理解しています。ただ、今のことについて、いくつかお願いがございます」
私は持参したメモ帳をいた。昨夜、眠れぬままき殴った項目のうち、現実に対応能なものだけを理してきた。
「まず、本以、の園のお引き渡しですが、原則として私に限定していただきたいのです」
園先と田辺先は顔を見わせた。
「お父様からの接触を避ける、ということですね」
「はい。現、夫との婚姻関係および同居の継続について法な理をめています。園の規定、親権が双方にある段階で父親の引き渡しを完全に拒否することが難しいのもじています。ですが、なくとも昨同伴していたという女性や、事の連絡がない状態での夫の急な連れりだけは防ぎたいのです」
園先は神妙な面持ちで頷いた。
「承いたしました。園の防犯規定としても、登録されていない第者への引き渡しは切いません。また、お父様が事連絡なくお見えになったは、必ずお母様へ即話連絡を入れ、お母様の承諾がない限り園内でお待ちいただく形を取らせていただきます」
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「助かります。それからもうつ……」
私は喉の奥につかえたものをみ込み、田辺先を見た。
「が、の顔を極端に伺うようになっています。自分が何かを話したらが壊れてしまうんじゃないか、と怯えていて……園での様子で、普段と違うことがあれば、些細なことでも共していただけますでしょうか」
「わかりました」
田辺先は迷いのない瞳で言った。
「ちゃんはとても周りを見て、相の気持ちを先回りして気遣ってしまう子です。無理に何かを聞きすようなことは絶対にいたしません。園にいるは、ただの歳の子どもとしてして過ごせるよう、職員同で見守ります」
事務な続きを終えて園をたとき、計の針は午を回っていた。
私は駅の喫茶に入り、スマートフォンの連絡先をいた。
昨夜、健吾のスマートフォンを覗き見るような真似はしなかった。だが、莉奈の連絡先をに入れるのは難しくなかった。彼女が昨落としていった名刺入れ――教ののベンチに置き忘れられていたものを、田辺先が預かってくれていたのだ。都内の堅宅設備メーカーの営業事務、莉奈。健吾の会社と頻繁に取引のある請け会社だった。
私は名刺に記載されていた携帯話の番号へ、いメッセージを送った。
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『野寺美咲です。昨のお話について、がいない所で度だけお会いできませんか』
送信ボタンを押してから、わずか分。
画面にい返信が灯った。
『本、でしたらおを作れます。駅の喫茶でいかがでしょうか』
*
駅ビルの階にある、平の昼がりには客の途絶える落ち着いた喫茶を指定した。
約束の分、の自ドアがき、周囲を伺うようにして莉奈が入ってきた。昨の清楚なニットとは違い、紺の細のスーツを着ていた。仕事のを縫って抜けてきたのだろう。
彼女は私の姿を認めると、瞬だけを止め、それから覚悟を決めたような取りでテーブルへづいてきた。
「……お待たせして申し訳ありません」
「いいえ。座ってください」
私が促すと、彼女は浅く腰掛け、バッグを膝のにきっちりと置いた。員が運んできたアイスコーヒーにはをつけず、線をテーブルのに落としている。
昨、幼稚園の教でを膝に乗せていたときの、どこか得げで、けれど居悪そうだった表とはまるで別だった。
「まず、伺いたいことがあります」
私はあらかじめ用していた帳をいた。になれば、相は防のためにを閉ざす。私は淡々と、事実だけを突きつける姿勢を崩さないよう識した。