"「2階は貸さない」と告げた母と、解約済みの息子夫婦" 第17話
2階から聞こえた「おやすみなさい」
11半ば。
結さんが正式に引っ越してきた。
荷物の半は、先に運び終えていた。
最に持ってきたのは、さな旅鞄と、何冊かの教科だった。
「今からお世話になります」
玄関でくをげる結さんへ、私は笑って答えた。
「こちらこそ、よろしくね」
結さんは靴をそろえ、2階へがった。
私は台所でお湯を沸かした。
しばらくすると、階段から音が聞こえた。
「藤原さん、台所をし使ってもいいですか」
私は振り返った。
「もちろんよ」
結さんはさな鍋を持っていた。
「簡単なスープを作りたくて」
私はコンロを空けた。
「どうぞ」
結さんは蔵庫から、自分で買ってきた野菜をした。
私は隣でお茶を入れた。
同じ台所に、別々の用事でつ。
議なじだった。
修と暮らしていた頃は、誰かと緒に台所を使うことが当たりだった。
そのは、ずっと私ひとりだった。
結さんは鍋をかき混ぜながら、声をかけてきた。
「藤原さん、今はのでしたか?」
私はうなずいた。
「ええ。午にってきたわ」
「楽しかったですか?」
私はし笑った。
「まだまだ先に直されてばかりよ」
結さんも笑った。
それ以、無理に会話を続けなかった。
私は自分のお茶を持って居へ戻った。
結さんはスープを作り終えると、使った具を洗い、2階へがっていった。
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夜9過ぎ。
私は戸を閉めた。
玄関の鍵を確かめ、台所のかりを消した。
階段のへくと、2階からさな声がした。
「おやすみなさい」
私は顔をげた。
「おやすみなさい」
それだけだった。
私は寝へ戻った。
修がくなってから、夜のには自分の活音しかなかった。
計の音。
蔵庫のさな作音。
を通るの音。
今夜は、2階で誰かが暮らしている。
それが、った以にかった。
ただし、結さんがにいるからといって、何かあったに必ず助けてもらえるわけではない。
そのことは、最初から確認している。
私は話の横に、緊急連絡先をきな字でいたを貼っていた。
娘の由紀。
かかりつけ医。
域の相談先。
必な報をまとめ、の届く所へ置いた。
結さんにも、緊急の連絡について、負担にならない範囲で説してある。
私はベッドへ入り、布団をかけた。
階段のから、さな音が聞こえた。
しばらくして、が静かになった。
私は目を閉じた。
その夜は、朝まで1度も目が覚めなかった。