"「2階は貸さない」と告げた母と、解約済みの息子夫婦" 第7話
区役所で見つけた1枚のチラシ
曜の教へ向かう途、私は京区役所にち寄った。
夫がくなってから、介護保険や齢者向けの相談窓について、きちんと調べたことがなかった。
美穂さんから夜の急病について指摘され、気になっていたのだ。
窓で相談すると、職員の女性が説してくれた。
「まずは、おくの域包括支援センターに相談していただく方法があります」
私はパンフレットを受け取った。
「まだ介護が必なわけではないんですけど」
職員はうなずいた。
「元気なうちから、緊急の連絡先や域の見守りについて考えておくことも切ですよ」
私はした。
ひとり暮らしのを解消する方法が、同居だけとは限らない。
そのことをりたかった。
窓をれた、案内棚に置かれたさなチラシが目に留まった。
『京都のまいを考える 世代交流型の宿相談』
そんな見しだった。
学のまい探しを支援する民団体が、齢者の自宅にある空き部の活用について、相談を受け付けているという内容だった。
私はわずち止まった。
「空いている部に、学さんが?」
チラシには、受け入れる側と学の希望を確認し、事面談や活の取り決めづくりを支援する、とかれていた。
ただし、すべてのが紹介対象になるわけではない。
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建物の設備やむの事を確認し、ができたに限るという。
私は1枚を鞄へ入れた。
教に着いてからも、そのチラシが気になった。
授業、先から声をかけられた。
「藤原さん、今はしが速いですね」
私は顔をげた。
「そうですか?」
「急がなくて丈夫ですよ。墨が落ち着くのを待ちましょう」
私は笑った。
「すみません。ちょっと考え事をしていて」
先は穏やかに言った。
「急いでこうとすると、字にもますからね」
私はを置いた。
のことも同じかもしれない。
寂しいから誰かとむ。
息子たちが困っているから2階を貸す。
そうやって急いで答えをす必はなかった。
私がどんな相と、どんな距で暮らしたいのか。
先に考えるべきことは、そこにあった。
帰宅、私はチラシを卓へ広げた。
そこにかれていた話番号を、ノートへ写した。
すぐには話しなかった。
まず、2階をもう1度確かめようとった。
修の斎。
隆之の子供部。
どちらも、いそのままにしてきた。
しかし、これから先も同じ状態で置いておかなければならない理由はない。
その夜、私は修の斎に入った。
窓をけると、したいが吹き込んだ。
本棚と机。
古い子。
壁にかけられた京都の図。
私はしばらく部を見渡した。
「あなた、この部を誰かに使ってもらってもいいかしら」
もちろん、返事はない。
それでも私は、修に聞いてみたかった。
部を残しておくことと、夫を覚えていることは、同じではないはずだった。