みかん小説
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"捨てられた整備士、沈黙の咆哮" 第13話

それからをり、ボンネットをけ、何百本と束ねられた気配線を、指の腹で本ずつ根元から先端まで辿っていく。

次に作業用の寝板を引きして体のに潜り込み、も戻ってこない。

いてきたかとえば、再び運転席へと戻り、シートの傾きやペダルの踏みしろをの裏でじっと確かめる。その解な作の繰り返しだった。

目も、全く同じだった。

目には、どこからか錆びた脚を持ちしてきて、体の真にち、井から輪のトレッドを見ろしていた。

目には、属製の巻き尺とノギスをに持ち、フロントフェンダーの端からリアエンドのテールランプの端まで、体のあらゆる箇所の寸法をミリ単位で測定し、あの使い古されたノートの見きに、びっしりと細かい数値をき込んでいた。

の事務所の壁に掛けられたカレンダーには、赤いマジックできな丸がつつけられていた。

今末――廃業の。

その運命のまでの残り数が、、またと確実に削り取られていく。

作械の引き取りを依頼している産廃業者からは、すでに解体作業の見の程調を求める話が入っていた。

そのにも、元の農から「最の検をお願いしたい」と軽トラが持ち込まれ、笹本はたったでリフトを操作し、でオイルを抜き、でタイヤチェンジャーを踏み、で納品伝票をき殴った。

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額の汗を拭い、ふと作業へ線を向けるたびに、暁の傍らで像のようにかない田の背が目に入った。

クーペのなドアが閉されるたび、半世紀の本革シートの匂いと、古い防錆ワックスの微かなりが、の油臭い空へと静かに溶けしていった。

そして、目の午だった。

オイルエレメントを締め付けていた笹本のから、油で滑ったラチェットレンチが甲い属音をててコンクリートのに落した。

カラン、カラン、と響くその質な音を聞いた瞬、笹本ので張り詰めていた何かが、ぷつりと切れた。

笹本は具を拾いげると、音荒く、暁の運転席へと歩み寄った。

「田!」

運転席の窓から、田がゆっくりと顔を向けた。

「……何がしたいんだ、おは」

自分でも驚くほど、く、押し殺した気を含んだ声がた。

「エンジンがかからないなんだぞ。だったら、キャブレターをバラすか、デスビの蓋をけてを見るのが筋だろうが! もうだぞ! おがボンネットのに具を入れたのは、初の回きりじゃねえか!」

田は何も答えず、ただ静かに笹本の充血した瞳を見つめ返した。

その無言の態度が、笹本の焦燥にさらに油を注いだ。

「うちはな、今で完全に終わるんだよ! おの気の済むまで付きってやりたいのは々だが、こちとら伝票の枚、オイルの滴だって無駄にできる余裕なんかないんだ! あのから円のにもならないことくらい、百も承で置いてやってるんだぞ! ……頼むから、仕事をしてくれ」

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言い終えた瞬、笹本は自分の両の拳が、刻みに震えていることに気づいた。

っていたのではない。

怖かったのだ。

この、彼女の入れされた具箱を信じ、彼女の「見通す目」に縷の望みを託しかけていた自分自が、またしても見込み違いの過ちを犯したのではないかという恐怖に、押し潰されそうになっていたのだ。

田は静かに運転席のドアノブを引き、へとりった。

そして、作業台のに置かれていた、あの油染みのついた学ノートを両で持ちげ、笹本の胸元へと差しした。

「……シリンダーの圧縮圧力を測りました。気筒とも、すべてメーカー基準値の範囲内に完璧に収まっています」

「……何?」笹本は眉をひそめた。

「プラグのも確認しました。本とも、い青いがんでいます。磁ポンプからの燃料も、キャブレターのフロートの直まで、規定の燃圧で正確に届いています」

笹本はひったくるようにノートを受け取り、頁をめくった。

そこには、きの几帳面な表のに、つのシリンダーの圧縮圧力、バルブクリアランスの隙、各気筒の点タイミングのオシロスコープ波形を模した緻密な図面が、付とともにミリ単位、ミリボルト単位で克に記録されていた。

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