"義母を無償介護した3年、夫は私の名義で毎月15万円を受け取っていた" 第17話
「まず、野理恵さん。あなたが過にわたり、お義母様の座から当に引きし、留保していた差額――総額百万円。これは全額、お義母様名義の定期預座へ、来末までに括で返還していただきます」
「……括……?」
理恵の掠れた声が漏れた。 顔面は蒼で、唇の端が細かく震えている。
「そんな、今すぐ用できるわけ……」
「定期預の解約でも、ご自の貯蓄からでも結構です」
先は切のを交えず、淡々と告げた。
「領収のない銭の無断引きしは、民法の当利得返還義務に留まりません。悪質な使途として親族横領の刑事告発に発展した、証責任はあなた側にあります。お義母様本が返還を求めている以、交渉の余はありません」
理恵は隣の義母を、すがるような目で見つめた。 だが、子の義母は顔を背け、固く結んだ唇をこうともしなかった。 実の娘が自分の体をダシにして着していたという事実は、義母のに度と消えない亀裂を刻み込んでいた。
「……分かりました。払います……払えばいいんでしょう……」
理恵は絶望に肩を落とし、震えるでペンを握りしめた。
「次に、修平さん」
先の鋭い線が、対面の夫に向けられた。
「あなたがにわたり、理恵さんから受領しながら美保さんに引き渡さなかった介護謝礼、計百万円。
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および、美保さんがて替えた介護消耗品・通院実費の精算分、計万千百円。計百万千百円についてです」
夫の喉が、ヒュッと鳴った。
「百万……そんな、元にあるわけないだろ! 美保、頼むよ、分割にしてくれ! 々万とか、ボーナスでしずつ……」
「分割払いは認めますが、万円などという非現実な期設定には応じられません」
先が類を枚めくり、夫の先に突きした。
「として、あなたが保する普通預から百万円を即支払い。残の百万千百円については、額万円、およびの賞与に各万円ずつの加算。最以内の完済とします」
「万?! 俺の取りから万引かれたら、活できないよ!」
「活費を見直してください」
私のえ切った言が、夫の叫びを遮った。
「私が夜勤当を削られ、毎の料から銭を切って介護用品を買いしていた、あなたは私の活の配をしてくれたかしら? 私が『精算して』と頼むたび、『がない』と蹴してゴルフにっていたのは誰だった?」
夫は言葉を失い、喉を痙攣させた。
「修平さん。このは、公証役にて『制執認諾文言付きの公正証』として作成します」
先の声は、もはや判決文の宣告にかった。
「支払いが回でも滞れば、裁判を経ることなく、あなたの与および預座が差し押さえられます。
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拒否されるのであれば、受領の偽造に関する刑事告訴状を、即座に所轄警察署へ提するまでです」
刑事告訴。 与の差し押さえ。 会社の板と世体を何よりもんじる夫にとって、それは息の根を止めるに等しい宣告だった。
夫はガタガタと震えるでペンを取り、擦れるインクの音をてながら、に自らの名を署名した。 、私の名を勝に切り貼りして作りげていた偽りのサイン。 そのツケを、今、自分自の本名で払わされることになったのだ。
銭の清算が片付いた、域包括支援センターの渡辺さんが、静かににた。
「それでは、お義母様の今の介護体制について確認いたします」
渡辺さんが広げたのは、しい介護計画の原案だった。
「お義母様ご本と面談をねた結果、ご自宅での宅介護を継続することは極めて困難であると判断いたしました。介護認定の見直しを申請しつつ、来より、隣の『介護付き料老ホーム』へのご入居続きをめます」
「……施設?」
夫が弾かれたように顔をげた。
「母さん、本気なのか? をて、あんな施設に入るって言うのかよ!」
「ええ、本気ですよ」
答えたのは、義母自だった。 その声はかすれていたが、かつてないほど迷いがなかった。
「あんたたちにはね、もう私の体に触れてほしくないんだよ」