"義母を無償介護した3年、夫は私の名義で毎月15万円を受け取っていた" 第15話
だから、これにサインしてくれれば、過のことは全部チャラにしてやる。これからは万、おの好きに使っていい遣いをやるから」
過のことは全部チャラにしてやる。 万の遣いを『やる』。
百万円を横領し、私の名を騙って受領を偽造した男が、から目線で私に恩を施すようなを利いている。 この男の脳内では、妻は対等なパートナーでものでもない。 自分の都のいいように搾取し、文句を言わせないための『無償の労働力』のままなのだ。
「修平さん」
私は静かに、類を指先で押し戻した。
「これを私にサインさせて、弁護士からの請求を封殺するつもりだったのね。『妻も納得して活費として使っていた』という既成事実を作って、横領の責任から逃げるために」
夫の顔が、ピクリと引きつった。
「な、何言ってんだよ! 族のために丸く収めようとしてやってるんじゃないか!」
「お断りします」
「美保!!」
ちがろうとする夫を、私は氷のような線で射抜いた。
「言っておくけれど、この類、証拠として私が預かるわね。あなたが法に着した百万円を、妻に無理やり『活費だった』と認めさせようとした、かぬ物証として」
「おい! 返せよ! それは俺がいたんだぞ!」
夫がテーブル越しにを伸ばしてきたが、私は素く類をバッグに滑り込ませ、ちがった。
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「、母さんのにくわ。先と、渡辺さんも緒よ」
「……え?」
「お義母さん本のち会いのもとで、すべての通帳と帳簿を突きわせます。あなたが誤魔化してきた百万も、理恵さんが抜き取っていた百万も、全部のに晒すから」
「待てよ……母さんは関係ないだろ! 母さんを巻き込むなよ!」
夫の鳴のような叫び声を背に、私はエレベーターへと乗り込んだ。 閉まる扉の隙から見えた夫の顔は、絶望と恐怖で気に染まっていた。
翌の午。 の狭いリビングには、息が詰まるほどの沈黙が満ちていた。
テーブルの片側には、私と、代理の弁護士。 そして域包括支援センターの渡辺さん。
反対側には、青ざめた顔でさくなっている夫の修平と、線を宙に彷徨わせている理恵。
そして、座の子には、義母の節子が座っていた。 とは違い、その顔にはりのはなく、まるで能面のように気を失っていた。 だが、その濁った瞳の奥には、え切った、暗い炎が燻っていた。
テーブルの真んには、から取り寄せてきた過分の取引履歴と、義母が事に抱えていた帳、そして理恵が管理していた義母のキャッシュカードが置かれていた。
弁護士が、淡々と類をめくる。
「……では、事実関係の最終確認をいます。
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まず、理恵さん。あなたが過にわたり、お義母様の座から『介護支援費・用品費』の名目で毎万円を引きしていた件ですが、の取引履歴と完全に致しました。総額百万円です」
理恵の肩が、ビクッとねた。
「そのうち、毎万円――計百万円は、修平さんの座へ送されています。そして、差額の万円――計百万円は、理恵さん、あなたの座に留保されたまま、活費や私な支に充てられていました。これについて、客観な領収等の提は切ありません。相違ありませんね?」
「……」
理恵は俯いたまま、爪を噛んで何も答えない。 沈黙は、完全な肯定だった。
「次に、修平さん。あなたが妹の理恵さんから『美保さんへの介護謝礼』として受け取っていた銭は、初度の百万円と、そのの百万円、わせて百万円です。しかし、美保さんへは円も支払われておらず、美保さんの署名を切り貼りした虚偽の受領を作成し、理恵さんに交付していました。さらに、美保さんがて替えた万円の介護実費も精算されていません。こちらも、相違ありませんね?」
修平は両で顔を覆い、指の隙から荒い息を吐きすだけだった。
「言い逃れのできない数字です」
弁護士は鏡のブリッジを押しげ、徹に告げた。
「理恵さんの百万円は、お義母様に対する当利得、あるいは横領に該当し得ます。