"義母を無償介護した3年、夫は私の名義で毎月15万円を受け取っていた" 第14話
喉の奥で、カチリと何かが凍りつく音がした。
「族の精算?」
私のく沈んだ声に、理恵が息を呑む。
「理恵さん。あなたが『母さんの様子を見にった当』として毎万円を懐に入れていた、お義母さんの爪を切り、浣腸をし、真夜に吐瀉物を片付けていたのは誰だったかしら」
「それは……美保さんは同居してたんだから……」
「ええ、同居していたわ。そして、私は自分の料から万円を持ちしにして、お義母さんのオムツ代を払っていたのよ。あなたが『雑費』と称して毎万円、百万ものを私腹を肥やすために引きしている横でね」
「私腹を肥やすだなんて! 聞きの悪いこと言わないでよ!」
理恵の猫撫で声が、瞬で剥がれ落ちた。 吊りがった目。 剥きしの敵。
「私だっての娘よ! 母さんの財産を使う権利くらいあるわ! 兄さんばかり万も貰ってずるいじゃない! のあんたが、しゃしゃりてきて族の座を洗う権利なんてないのよ!」
「の私に、無償で母親の排泄物を拭かせ続けておいて?」
私の淡々とした反論に、理恵は言葉を失い、顔を真っ赤にしてをパクパクとさせた。
「……もういいわ」
理恵は乱暴にバッグを掴んでちがった。
「あんたがその気なら、私だって兄さんと結託してやる! あの受領のサイン、あんたが自分でいたって証言してやるから! 親族全員に、あんたが兄妹を仲違いさせてを乗っ取ろうとしてる悪女だって言いふらしてやるんだから!!」
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鳴り散らし、伝票も取らずにをびしていく義妹のろ姿を、私はめた目で見送った。 テーブルのに置いたスマホの録音アプリを止する。 画面には、今の会話が分秒の音声データとして、波形をくっきりと残していた。
「……悪女、ね」
誰が本当の寄虫なのか。 自分の言葉で自分の逃げを塞いでいく義妹の浅ましさに、ため息すらなかった。
その翌の夜。 今度は夫の修平から、ホテルのフロント経由で内線が入った。 『ロビーにいる。頼むから分だけ会ってくれ。話がある』
断ることもできた。 だが、弁護士から「相が何か類をしてきたら、絶対にそので署名せず、すべて回収しなさい」と指示されていた。 私はスマホの録音を起させたままポケットに入れ、ロビーへとりた。
そこにいた夫は、完全に追い詰められた獣のような目をしていた。 無精髭が伸び、スーツの襟元は汚れている。 には、コンビニの茶封筒が握られていた。
「美保……」
私を見るなり、夫はすがるように両を伸ばしてきた。 私は無言でソファを指差し、定の距を保って腰掛けた。
「用件は何? 修平さん。銭の精算については、先を通してくださいと言ったはずだけど」
「弁護士なんて袈裟なことするなよ! 夫婦だろ?! 俺たち、以も連れ添ってきた夫婦じゃないか!」
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夫は必に声を張りげながら、茶封筒から枚の類を取りし、ガラステーブルのに滑らせてきた。
「これを見てくれ。俺なりに、これからのことを考えたんだ」
類のタイトルを見た瞬、私は自分の目を疑った。
『庭内費用精算に関する追認』
震えるような夫のきで、几帳面に箇条きが並んでいた。
、妻・美保は、夫・修平が受領していた額万円の介護補填につき、過にわたり庭内の共同活費として適切に費消されていたことを追認し、これを受諾する。 、夫・修平は、妻・美保の献な介護に謝し、今、額万円の自由遣いを妻に支する。 、記をもって、双方は本件に関する銭債権債務がしないことを確認し、以、切の請求をわない。
……追認? 共同活費として適切に費消?
あまりの図々しさに、喉の奥から笑いが込みげてきそうになった。
「これ、あなたがいたの?」
「そうだ。ネットで文例を調べて、俺が清した」
夫は真剣な顔で、胸を張って言い放った。
「美保、おだってこのにタダでんでただろ? 費だって、俺の料からてたんだ。あの万は、賃や将来のための修繕積として、俺が『族の代表』として管理してたんだよ。