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"義母を無償介護した3年、夫は私の名義で毎月15万円を受け取っていた" 第13話

「お義母様、渡辺さん。失礼いたします」

「美保さん……すまなかったねえ……」

背から、義母の絞りすような、か細い声が聞こえた。 の結婚活で、義母から「すまない」という言葉を聞いたのは、これが最初で最だった。 けれど、その言葉を聞いても、私のには何の慨も湧かなかった。 遅すぎるのだ。 すべてが、あまりにも遅すぎた。

玄関をると、の空が赤黒く染まり始めていた。 たい夕方のが、照った私の頬を鋭く撫でていく。 呼吸をするたびに、肺の奥まで澄み切った空気が満ちていくのが分かった。

スマホを取りすと、画面には弁護士からのメールが届いていた。 『通の発送準備、完いたしました。いつでもけます』

私は画面を閉じ、のへと歩きした。 取りは、驚くほど確かだった。 彼らが貪りっていたのは、おだけではない。 私の護師としての矜持であり、私ののそのものだったのだ。

そのすべてを、円たりとも残さず、法と現実のルールに従って、完全に清算させてやる。 夕の向こうで、灯がつ、静かに灯った。

締めされてから、が過ぎていた。

病院くのビジネスホテルから勤し、勤をこなして戻る活。 スマホの画面には、夫と義妹からの着信が、わせて件以も積みなっていた。

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留守番話に吹き込まれた修平の声は、を追うごとに苛ちから鳴へと変わっていた。

『母さんのショートステイ、空きがないって言われたぞ! どうすんだよ!』 『理恵のやつ、仕事があるからって夕方には帰っちまうんだ! 俺に仕事を休めって言うのかよ!』 『美保、頼むから飯だけでも作りに来てくれ……シーツの替えがどこにあるかも分からないんだ……』

メッセージの文字を眺めながら、私はめた緑茶を喉に流し込んだ。 胸の奥に湧きがるのは、同でも罪悪でもない。 ただ、乾いた淡さだけだった。

分からないはずがないのだ。 台所の吊り戸棚の番。 マスキングテープに太い油性ペンで「リネン類・シーツ予備」「清拭用タオル」と、誰が見ても目で分かるように私がラベリングしてある。 探そうともせず、読もうともせず、ただ「美保がやればいい」と丸投げしてきたの甘えが、今になってね返ってきているだけだった。

夕方、ホテルのロビーにりると、ガラス扉の向こうに義妹の理恵がっていた。 目のに隈を作り、髪を乱した理恵は、私の姿を認めるなり駆け寄ってきた。

「美保さん……!」

周囲の宿泊客がぎょっとしてを止める。 理恵は私の腕を掴もうとしたが、私は半歩退いてそれを躱した。

「ち話もなんです。所の喫茶にしましょう」

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私のややかな声に、理恵は怯えたように頷いた。

喫茶の隅の席。 運ばれてきたホットコーヒーからちる湯気を挟んで、理恵は両を握りしめ、屈みになって私に縋り付いてきた。

「美保さん、お願い。弁護士からの通、取りげて」

番、義妹のからたのは、それだった。 声は微かに震え、目遣いに私の嫌を窺っている。

「兄さんが悪いのは百も承よ。毎万も美保さんに渡さずに着してたなんて、として最。私、兄さんから全額回収するために、美保さんの方をするから。証拠だって全部すわ」

「……方?」

私が静かに問い返すと、理恵は何度も激しく首を縦に振った。

「そうよ! 私が兄さんに振り込んでた記録、警察にでも裁判所にでも提してあげる。だから……その代わり、私のことは問にしてほしいの」

あまりにも分かりやすい擦り寄りだった。 自分の首に刃が届きそうになった途端、実の兄を差しして逃げを打つ。

「問、とは?」

「ほら……私が母さんから引きしてたって言われてる、万のことよ」

理恵は周囲を気にしながら、声をさらに段落とした。

「あれは着なんかじゃないの。実にくためのガソリン代や、母さんの様子を見にった当……族の雑費として、母さんも納得してたはずなのよ。領収はないけど、族のでいちいちレシートなんて取らないでしょう? だから、あれは『族の精算』ってことにして、美保さんからも弁護士さんにそう説してほしいの」

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