"義母を無償介護した3年、夫は私の名義で毎月15万円を受け取っていた" 第4話
だが、隠れきれるはずがない。
「修平」
私が名を呼ぶと、ドアの奥でビクッと肩がねるが見えた。
「私のノートをコピーして、勝に受領を作ったのね。妹から毎万を受け取るために。私の名を使って」
沈黙。 苦しく、汚濁に満ちた沈黙が玄関先を支配した。 言い訳の言葉すら、夫のからはてこない。 それは、完全な肯定だった。
「……信じられない」
理恵のから、呆然とした呟きが漏れた。 私を糾弾するために吊りがっていた眉が、急速にがっていく。 しかし、その表に浮かんだのは、私に対する申し訳なさではなかった。 別の、もっと々しい揺と焦燥だった。
「待って……じゃあ、あの万、美保さんには渡ってなかったってこと? 兄さんが、全部……?」
理恵の顔から血の気が引き、爪を噛むような仕配を見せた。 その狼狽え方は、兄に騙されていた妹のショックというよりは、何か別の『計算』が狂ってしまったのパニックにかった。
「美保さん、ちょっと待って。ここでは話せないわ。所を変えましょう」
理恵が急に声を落とし、私の腕に縋り付くように触れてきた。 その指先が、微かに震えている。
「私、兄さんと話すから。美保さんはとりあえず……」
「いいえ」
私は理恵のを、静かに、けれど確実に振り払った。
「私は入りません。鍵を変えられた以、法侵入で騒がれても困りますから。
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今のところは引き揚げます。でも、この写真は保させてもらいました」
私は理恵のスマホの画面を、自分のスマホのカメラで確実に撮した。 夫がドアの奥で「おい、やめろ!」とさく叫んだが、完全に無した。
「修平さん、今のデイサービスの送りしとお義母さんの昼、夜の薬管理、全部あなたと理恵さんでやってね。私はもう、勝に入れないに無理に入る気はありませんから」
「美保! おい、美保!」
ドアチェーンをガチャガチャと鳴らしながら夫が叫ぶ声を背に受けながら、私は度も振り返らずに踵を返した。 アスファルトを踏みしめる取りは、議なほど軽かった。 りで震えていた指先が、今は徹に引き締まっている。
駅のビジネスホテルに向かい、フロントで当面の連泊続きを済ませた。 部に入り、ベッドのに倒れ込むと、16の夜勤と玄関先での修羅の疲労が、どっと津波のように押し寄せてきた。 のようにい瞼を閉じようとした、そのだった。
枕元に置いたスマホが、く震えた。
画面を見ると、義妹の理恵からのLINE通だった。
『美保さん、さっきは取り乱してごめんなさい。私も兄さんに騙されてたみたい。まさか美保さんに円も渡してないなんてわなかった。本当に許せない。私、美保さんの方だから』
画面を見つめたまま、私は乾いた笑いを漏らした。
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さっきまで鬼の首を取ったように私を罵倒していたが、わずか数分で「方」を名乗ってくる。 だが、メッセージはそれだけで終わっていなかった。
『兄さんからおを取り戻す伝いなら何でもするわ。だから、弁護士とかケアマネさんにはまだ言わないで。族の問題だし、事にしたら母さんの臓にも悪いから。それに、母さんの座のことは美保さんには関係ないし、調べる必もないからね。兄さんのことだけ、2で問い詰めましょう』
母さんの座のことは関係ない。 調べる必もない。
その自然すぎる文に、私の護師としての直が激しく警鐘を鳴らした。 隠したがっている。 理恵は、兄の横領を暴くこと以に、何か別の所にのがぶのを恐れている。
数分、理恵からて続けに画像ファイルが送られてきた。 自分が兄に毎15万円を送していたことを証する、通帳アプリの詳細細のスクリーンショットだった。
『これが私が兄さんに振り込んでた記録。最初の1は私のパート代から面してたの。でも途から……とにかく、私はちゃんと払ってたのよ!』
送られてきた細の画像を、私はベッドのに起きがり、慎に拡した。
令〇〇25 振込 タカハシ シユウヘイ 150,000円 令〇〇25 振込 タカハシ シユウヘイ 150,000円
確かに、毎25に15万円が引き落とされている。