"義母を無償介護した3年、夫は私の名義で毎月15万円を受け取っていた" 第3話
美保さんがちゃんと受け取ったっていう、名入りのメモがね」
理恵はスマートフォンを素く操作し、別の画面をいて私に見せた。
「これよ。これで言い逃れできるとってるの?」
画面に表示されたのは、枚の類を撮した写真だった。
【受領】 介護謝礼として、拾萬圓也を正に受領いたしました。 令〇〇〇 受領者: 美保
いの真んに、きの文字。 そしてには、違いなく私の字で「 美保」と記されていた。
胃のあたりが、キュッと雑巾のように絞られる覚がした。 臓が嫌な音をててねる。
私の名。 私の跡。 「美」の本目の横線のわずかなね、「保」の偏と旁の絶妙なバランス。 紛れもなく、私がペンを握っていた文字だった。
……え、待って。 私、こんな類に署名した記憶なんて、本当にない。
「どうなのよ。自分の名でしょうが」
勝ち誇ったような理恵の声が、の奥を通り抜けていく。 私は震える指先でスマホの画面をピンチアウトし、画像を限界まで拡した。
画面をい入るように見つめる。 護師という職業柄、々のカルテや護記録、薬剤の投与指示など、膨なき類と印鑑をミリ単位で確認する癖がついている。 文字の形、インクの濃淡、の質。
違は、すぐに輪郭を現した。
「 美保」
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という署名の、最の「保」の払い。 その先端に、かすかに途切れたような、自然な黒い点があった。 そして、名のすぐ、の肌に、うっすらと斜めにる極細の。 これは……の折り目だ。
記憶の引きしが、猛烈な勢いでひっくり返される。
折り目。 そして、この独特のインクの擦れ。 私の用している、病院支のフリクションではなく、自宅の台所に置いてある物の黒ボールペンの滲み。
私は自分のスマホを取りすと、クラウドのストレージをいた。 検索窓に「ケアノート」と打ち込む。 画面にずらりと並んだのは、私が3、1も欠かさずに記録し、末ごとにスマホのカメラで撮して保していた『庭内ケア連絡ノート』の画像データだった。
介護の族を宅でるにあたり、訪問護師やケアマネジャーとの報共、そして何より複薬や事故を防ぐために、私が独自につけていた連絡ノートだ。 付、血圧、脈拍、排泄状況、事量、特記事項。 そして、番の欄には必ず、記録者としての私のサインを残していた。
画面をスクロールし、理恵が見せてきた「受領」の付と同じの画像を探しす。 あった。 2の、1128の記録。
そのの連絡ノートの末尾を拡する。
『夕、の浮腫軽度あり。肢挙にて就寝。のデイ送りしは修平さんに依頼。
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記録者: 美保』
ノートの署名と、理恵のスマホにある「受領」の署名を並べて見比べる。
息が止まりそうになった。 「保」の払いにある、ボールペンのダマによるさな点。 そして、ノートの端を義母が誤ってお茶で濡らし、乾いたにできた斜めのさなの歪み。
完全に、致していた。
「……これ、切り貼りよ」
掠れた声がた。
「はあ? 何言ってんの」
「切り貼りされた偽造よ。理恵さん、よく見て」
私は自分のスマホを理恵の目のに突きつけた。 ノートの原本写真と、受領の写真を指先で交互にタップする。
「このサイン、私が毎の健康管理をつけていたケアノートの番から切り取られてる。ほら、このペンのダマも、の折れ目も、ミリ単位で全く同じでしょう? 私がいたのは、お義母さんの血圧と排泄の記録。の『受領』っていう文字と『万円』っていう文章は、から別のに印刷されて、私のサインのに貼り付けられてコピーされたものよ」
理恵の目が、丸く見かれた。 スマートフォンの画面と私の顔を、何度も往復する。 彼女も馬鹿ではない。 拡された2つの画像を見比べれば、それが偶然の致などではなく、物理に同の跡を複写したものだということくらい、すぐに理解できたはずだ。
「そんな……じゃあ、兄さんが……?」
理恵の線が、ガタガタと震えながらドアの隙に向かった。
隙の奥にいた夫は、私たちの会話がそこまでんだのを聞き、完全に気配を消そうとしていた。