みかん小説
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"義母を無償介護した3年、夫は私の名義で毎月15万円を受け取っていた" 第1話

の鍵が、途で引っかかって回らない。

16の夜勤け。 指先がかじかんで、輸液ポンプのアラームを聞き続けたの奥が、まださく鳴っている。 たいが吹き抜ける、午10の宅。 カチャリ、カチャリと無質な音だけが、玄関先に虚しく響いた。

何度差し直しても、鍵穴の奥が噛みわない。 違の正体に気づいた瞬、背筋がすっとたくなった。 鍵が壊れたんじゃない。 シリンダーごと、しいものに取り替えられている。

インターホンのボタンを押した。 数秒の静寂の、ブツンと通話がつながる音がして、スピーカーから聞き慣れた声がってきた。

「……何の用だい」

義母、節子の声だった。 78歳。3に脳梗塞で倒れて以、半に麻痺が残り、介護2の認定を受けている。 毎朝、私が体を拭き、血圧を測り、デイサービスの送迎に乗せるまでが課だった。 その義母の声には、普段の甘えたような々しさは微もない。

「お義母さん、美保です。鍵がきません。取り替えたんですか?」

できるだけ波をてないよう、声を抑えて尋ねた。 すると、インターホンの向こうで、フンとを鳴らす気配がした。

「勝な研修にくような嫁はね、このには入れませんよ。族の言うことも聞けないなら、をやしてきなさい」

を殴られたような衝撃だった。

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勝な研修。 それは、私が来から受講を決めていた、緩ケアの認定護師に関わる専研修のことだった。 週に度、半だけシフトを調して受ける講義。 事に夫の修平にも話し、「のことや母さんの介護に穴をけないならいい」と渋々解を取っていたはずだった。

「お義母さん、けてください。修平さんは? にいますよね」

玄関のドアスコープの奥で、わずかにが遮られるのが分かった。 モニターの端に、見慣れたのスウェットのが映っている。 夫だ。 会社を休んでいるのか、それとも休を取ったのか。 夫はそこにっているのに、言も発しない。

「修平さん! いるんでしょう? けてよ」

呼びかけても、返事はない。 ただ、インターホンのマイクが瞬だけ擦れる、息を潜めたような雑音が聞こえただけだった。 夫は、私を締めす義母の隣で、無言を貫いている。

「所迷惑だから声をすんじゃないよ」

義母のえ切った声がなり、プツンと方に通話が切られた。

言葉がなかった。 夜勤の疲労で鉛のようにいが、アスファルトに縫い付けられたようにかない。 泣き叫んでドアを叩く気力すら湧かなかった。 護師として20以、理尽な声や混乱した現をいくらでも見てきた。 取り乱したら負けだという徹な計算が、麻痺しかけた脳の片隅でかろうじて働いていた。

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スマホを取りし、画面をタップしようとしたその。

カツ、カツ、カツと、宅の静寂を切り裂くような甲いヒールの音が、背からづいてきた。 振り返ると、キャメルのウールコートを着た義妹の理恵が、肩で息をしながら歩いてくるところだった。

「……美保さん」

理恵の顔は、らかなりと軽蔑に歪んでいた。 番、彼女は私の胸元に差し指を突きつけるようにして言い放った。

「いい加減にしてよ。毎万円ももらっておいて、まだ母さんを放りす気?!」

……は? 万?

喉の奥がカラカラに渇いて、声がうまくなかった。

「理恵さん、何を言ってるの?」

「とぼけないでよ!」

理恵は周囲の目も憚らず、切り声をげた。 向かいののカーテンが、わずかに揺れたのが界の端に入る。 所迷惑。世体。 そんな常識すら吹きぶほど、義妹は興奮していた。

「兄さんから全部聞いてるわよ! 3に母さんが退院した、美保さんが『夜勤を減らすと病院の料ががるから、万の当をしてくれなきゃ介護なんてできない』って言いしたんでしょ?! 私、どれだけ無理してそのおを面してきたとってるの!」

が、全く理解できない。

私が、夜勤を減らす見返りに、万円を求した? そんな約束、度たりとも交わした覚えはない。

3、義母が急性期病院から退院する際、病院の医療ソーシャルワーカーを交えて族会議がかれた。

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