"百日祝いを門前払いされた娘に、24年後届いた祖母の手紙" 第9話
もの、親戚たちに見せびらかし、『妻が頑なに接触を拒んでいるが、自分たちはこんなにしていた』と言い張るための具として。
私は震えるでスマートフォンを取りし、そのアルバムのページを何枚も、何枚も写真に収めた。 付、きの文字、周囲の親戚の顔、そして全体の構図。 言い逃れの余がないほど、鮮に撮した。
「……灯ちゃん?」
背から、掠れた声がした。
臓がねがった。 振り返ると、斎のドアの隙から、祖母が幽霊のような顔をして私を見つめていた。
に広げられた悠のアルバムと、私ののにあるスマートフォン。 それを見て、祖母の顔から急速に血の気が引いていくのが分かった。
「あなた……何を、見ているの……?」
私はゆっくりとちがった。 アルバムを抱え、祖母のに歩み寄る。
「おばあちゃん。この写真、悠の百祝いですよね?」
祖母は息を呑み、線を泳がせた。
「〇〇。私の百祝いから、半以もの写真です。どうしてこの写真のに、私とお母さんがいたんですか?」
「そ、それは……」
祖母の唇が刻みに震え、着物の袖をぎゅっと握りしめた。
「お父さんが、やったんでしょう? お母さんと私を切り取って、悠の写真に貼り付けた。そうですよね?」
「……修司はね」
祖母は掠れた声で、懇願するように両をわせた。
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「修司は、族の絆を守りたかったのよ! 親戚の、男の最初の娘を祝わなかったなんてれたら、佐久のの恥になるでしょう? だから……記のために、綺麗に残しておこうって……」
「族の絆……?」
私のから、たい言葉がこぼれ落ちた。
「払いして、寒空ので泣かせた赤ん坊の写真を盗み取って、からまれたの息子の写真に継ぎ接ぎすることが、族の絆なんですか?」
「灯ちゃん、言葉に気をつけなさい!」
祖母は急に声を荒げ、いつかの母を睨みつけたであろう酷な目を剥いた。
「世体というものがあるのよ! あなたたちのせいで、修司のが悪くなるのを防ぎたかっただけじゃないの! 昔のことをいちいち掘り返して、何になるっていうのよ!」
このは、何つ反省していない。 も、今も。 自分たちの世体と保のためなら、のや尊厳など、蹴にしても構わないとっているのだ。
「おばあちゃんは、最初からっていたんですね」
私はを完全に消しり、淡に言い放った。
「この写真が偽物だとりながら、私に『されていた証拠』だと嘘をついてを送ってきた。親戚たちにも、、嘘をつき続けてきた」
祖母は言葉を失い、ただ荒い息を吐きながらち尽くした。
私はアルバムを丁寧にキャビネットに戻し、鞄を肩に掛けた。
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もう、このに用はなかった。
「失礼します」
すれ違いざま、祖母が私の腕を掴もうと伸ばしてきたを、私は無言で振り払った。 玄関へ向かい、ドアをけ、のたい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
すべてが繋がった。 写真の嘘も、学費の嘘も、そして現の病気の嘘も。 あの族は、最初から最まで、私をい物にするためにしかしていなかったのだ。
世田の宅を抜け、最寄り駅の改札へと向かって歩いていた。 夕暮れのにはを急ぐ通勤客が増え、たいがコートの裾を揺らす。
駅のロータリーに差し掛かった、背から自然に速い音がづいてきた。
「おい、ちょっと待てよ」
く、けれどどこか軽さを孕んだ若い男の声だった。 腕を掴まれそうになり、とっさにを引いて振り返った。
そこにっていたのは、代半の青だった。 流りのオーバーサイズのハイブランドのジャケットを着て、にはピアスの穴。 茶く染めた髪をワックスでえているが、目のには濃い隈が張り付き、肌は荒れていた。
顔ちの輪郭が、驚くほど父に似ていた。 そして――先ほどアルバムので見た、あの赤ん坊の成した姿そのものだった。
「……佐久悠?」
私が名を呼ぶと、青はフッと角を歪めて笑った。
「やっぱり姉貴じゃん。
親父から写真見せてもらってたから、発で分かったわ」
臓の奥が、ザラリと嫌な音をてた。 弟。 私のを否定し、奪い尽くした所に君臨してきた、もうの子ども。