"ローンを完済した私に、義母は「家なら売った」と言った" 第17話
なものになるのだ。
「ですが」 私はトーンを段落とし、夫の目を射抜いた。
「千百万円の売却純利益は、完全に夫婦のの共財産です。あなたの隠し座にある百万円は全額差し押さえの対象ですし、浦織さんのマンションに流れた千百万円についても、彼女の弁護士から『マンションを任売却して資を清算し、返還に応じる用がある』と連絡が入っています」
「な……織が、売るだと!?」 夫が子からびがりそうになった。
「彼女はあなたと違って、現実が見えるよ。宅ローンを抱えたまま沼の訴訟に巻き込まれるより、居を売却してあなたとの関係を清算するを選んだのよ。当然ね」
夫はを抱え、獣のような呻き声を漏らした。 居も、も、隠し座も。 すべてがのに晒され、逃げは完全に塞がれていた。
それでも、夫は往際悪く喚いた。
「だが……おだって、納得して万払ってたんだろうが! あれはのでの活費だ! 俺が騙した証拠なんてどこにある! おが勝にローンだとい込んでただけだ!」
最まで、妻の無と従順さに責任を擦り付けようとする。 どこまでも、どこまでも浅ましい男。
私はバッグから、枚のを取りした。 スマートフォンの画面を印刷した、鮮なカラーコピー。
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テーブルの央に、音もなく滑らせる。
そこには、先週の曜の付とともに、夫のアカウントから送られてきたメッセージが、くっきりと印字されていた。
『今で最だからな。万、忘れずに振り込んでおけよ』
「……あ」
夫の喉から、の抜けた音が漏れた。
「、を売ったも、あなたは私にこうやって送り続けていたわね。『今の宅ローンだ』『ボーナスだから増額だ』って」
私はを乗りし、夫の顔をで見据えた。
「あなたが、自分ので送ったのよ。私が宅ローンを返済していると信じ込ませ、賃の差額をピンハネし、売却の事実を隠蔽していた決定な証拠。これを裁判所にして、裁判官があなたの言い分を信じるとう?」
夫の弁護士が、く、くため息をついた。 そして、自分の依頼の肩を叩き、諦めるように首を横に振った。
「……岸本さん。もう、無理です。これ以の抗弁は、裁判官の証を決定に悪化させます。全面に解に応じるべきです」
カチリ、と会議の計の針がむ音が響いた。
夫の顔から、すべての表が剥ぎ取られていた。 ただの、老いて、嘘に塗れ、逃げを失ったれな男の抜け殻が、そこに座っていた。
真が過ぎ、埼玉の空がくなり始めた初。 弁護士事務所のい扉の向こうで、つの産売買契約が静かに結ばれた。
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売却されることになったのは、あのがのために買い与えた、さいたま内の築浅マンションだった。
「任売却の続き、無事に完しました」
私の弁護士が、受話器の向こうで淡々と告げた。 織さんの代理は、極めて現実で敏腕だった。 夫から流した千百万がな夫婦共財産の当処分であり、このまま訴訟になればマンションの仮差押えと競売は免れないと悟るや否や、織さんに即の任売却を決断させたのだ。
宅ローンの残債千百万円を清算し、仲介数料を支払い、織さん自の自己資百万円を回収したで、元に残った売却益。 そこから、夫がとして注ぎ込んだ千百万円が、公正証に基づき、信託の預託座へと買い戻された。
さらに織さんは、職への響と期の裁判闘争を避けるため、貞為の慰謝料として自己資から定の解決を拠し、あの男との関係を完全に清算した。
「度と、あのの顔も見たくありません」 それが、織さんの弁護士を通じて届いた、彼女の最の言葉だった。
番皮肉だったのは、あの男の結末だ。
暮らしたがを売り払い、妻を欺き、老いた母親を騙してまでに入れようとしたとの活。 そのの結晶だった瀟洒なマンションは、あの男が度も暮らすことなく、赤ののに渡った。
残ったのは、織さんから完全に拒絶され、オートロックので締めされたという無様な事実だけだった。