"午前二時、ホテルから部屋を替われと言われた" 第13話
『12:10 お従兄の藤原様より。社確認のみ。折り返しとのこと』
計の針は、分を指していた。
話がかかってきてから、まだ分も経っていない。
私はスマートフォンを掴み、湯の奥の非常階段へ駆け込んだ。い鉄の扉を閉め、踊りの暗いコンクリートの壁に背を押し当てた。
スマートフォンの画面をくと、見らぬ番号からのショートメッセージが通、届いていた。
通のプレビューを見た瞬、息が止まりそうになった。
野恵――昨夜、階の廊で私に警告をくれた、あの女性からだった。
『宮本さん、突然のメッセージ失礼いたします。曽根崎署の警察官の方から、あなたの連絡先を伺いました。どうしても、言お伝えしなければならないといまして』
私は震える親指で画面をスクロールした。
『警察の事聴取が終わった、いしたことがあります。昨夜、あの男のが廊にっていたときのことです。男のは、清掃のワゴンを避けたあと、胸ポケットからさなメモ帳を取りして、何かを確認していました。そのメモ帳の表に、あなたの会社のお名と、ビルの観の写真のようなものが貼ってあるのが見えました。
あのは、き当たりばったりでホテルに来たんじゃありません。最初から、あなたが京でどういう活をしていて、どこに逃げがあるのかを、全部調べげたでいていたんだといます。
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私、本当に怖いです。あのの顔をいすと、今でもが震えます。あんなに普通で、あんなに優しそうな顔をして、の部の鍵をけられるがいるなんて、信じられません。
宮本さん、どうか気をつけてください。警察を絶対に頼ってください。絶対に、で会おうとしたりしないでください』
野さんの文面から、昨夜の廊のたい空気と、あの男の無質な笑みが鮮烈に蘇ってきた。
藤原は、最初から京での接触まで織り込み済みだったのだ。
阪のホテルでの夜の侵入は、彼にとっての「見」に過ぎなかったのかもしれない。私が恐怖に怯え、どこへ逃げ、どういうを取るかを観察するための実験。
そして今、男は私の職のすぐまで来ている。
私はスマートフォンの通話履歴をき、、度も発信ボタンを押したことのなかった番号をタップした。
京都の女性相談センター。
、真のを引いて駆け込み、彼女のしい戸籍の閲覧制限と緊急避難の続きを代してもらった、専任相談員の直通回線だった。
呼びし音が回鳴ったあと、聞き覚えのある落ち着いた女性の声が応対した。
「はい、女性相談窓です」
「……ロジスティクスの、宮本です。、野真さんの件で担当していただいた、神さんをお願いできますでしょうか」
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話の空気が、瞬で引き締まったのが分かった。
「宮本様ですね。神です。……どうされましたか」
「藤原が……真さんの元夫が、私のところに来ました」
私は階段のすりをく握りしめ、言葉を継いだ。
「昨夜、張先の坂のホテルに侵入されました。そして先ほど、私の京の会社にも、親族を騙って探りを入れてきました。警察には通報済みですが、本はまだ拘束されていません。……神さん、真さんは無事なんですか。あの男のが、真さんの方にも伸びているんじゃありませんか」
受話器の向こうの神相談員は、く息を吸い込んだ。
「宮本様、まずはご自のの全を確保してください。今、どちらにいらっしゃいますか」
「会社のビルのです。セキュリティゲートの内側にいます」
「絶対にへないでください。……野真さんの件ですが、彼女は現、法にも元を厳に保護された環境におり、現点で直接な接触や痕跡は確認されておりません。ですが、藤原氏があなたに対してそこまでのを起こしているとなると、事態は極めて刻です」
「真さんは……私が巻き込まれていることを、っているんですか」
神相談員は、数秒のを置いた。
「……実は、午に阪府警から京の警庁を通じて、こちらへ連絡が入りました。