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"「明日から母をやめます」結婚前夜、席次表を消した私" 第10話

話の向こうの空気が、ピシリと凍りつく気配がした。

「……は? 今、何て言ったの?」

「泊まり込みで面倒を見ることはできない、と言ったのよ。あなたが本当に体調を崩して、突発にどうしてもが必なに、事に相談してくれれば数伝いにくことはできる。でも、あなたの庭の常を支える専属の員には、私はもうなれない」

『……ちょっと待ってよ。わかんないんだけど』

奈央の声から、先ほどの甘えた響きが完全に消えった。 く、濁った、あの父親そっくりのりが滲みしてくる。

『産だよ? 娘が番変なに、伝わない親がどこにいるの? 周りの友達はみんな、実のお母さんに来てもらって至れり尽くせりだよ!?』

「それは、お互いに信頼関係があって、頃から謝を伝ええている親子の話よ」

『何それ。私に復讐してるつもり? 結婚式のことをまだ根に持ってるわけ!? ちっちゃいだね!』

受話器越しに、奈央の声が鼓膜を刺す。

『実の親ならね、娘が妊娠したらどんなに喧嘩してたってんでくるんだよ! 孫の顔見たくないの!? ……ああ、そうか。やっぱりそうなんだ。血が繋がってないもんね! の子供の赤ちゃんなんて、どうでもいいんだ!』

また、その言葉。

歳のから、。 私がどれだけ自分のを削って注いできたかなど、この娘のからは完全に消え失せている。

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い通りにならない瞬、いつでも私を刺すために懐に忍ばせている、最も劣な刃。

けれど。 もう、その刃は私のに届かなかった。

傷つく代わりに、ただい、底れないれみが湧きがってきた。

「奈央」

私は、静かに、言言を区切るように言った。

「もし、あなたの言いつけを何でも無条件で聞き入れることだけが『母親』の条件なら……私は最初から、母親失格で結構よ」

『……え?』

「体だけは、本当に切にしなさいね」

それ以、娘の言葉を待たずに、私は通話を切った。

ツーツーという無質な切断音が響く。 スマートフォンをテーブルのに置き、私は両で顔を覆った。

涙はなかった。 ただ、かけて育てたものが、これほどまでに脆く、勝な怪物に育ってしまったという事実が、い疲労となって肩にのしかかっていた。

それから週。 夜、再び亮介さんから文のメッセージが届いた。

画面をいた瞬、私はわず息を呑んだ。

『お母さん、度々本当に申し訳ありません。 奈央が、完全に限界を迎えています。 お母さんに話で断られてからというもの、の物を投げ散らかし、「亮介が私の方をしないからだ」「私のことを誰もしてくれない」と、毎晩泣き叫んでいます』

メッセージは、若い夫の痛な叫びで埋め尽くされていた。

『先週、僕がどうしてもせない方張があったのですが、奈央に「私とお腹の子供を置いて張にくなんて、お母さんと同じで私を捨てる気なんだ」

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と責めてられ、幹線をキャンセルさせられました。 会社でのも危うくなっています。 事も作らず、掃除もせず、「お母さんが来ないのは亮介の頼み方が悪いからだ。お母さんのアパートにって座して連れ戻してこい」と命令されています』

胸が痛んだ。 亮介さんは、真面目で優しい青だ。 だからこそ、奈央の底なしの求に呑み込まれ、かつての私のようにすり減らされている。

メッセージの最には、こうかれていた。

『今、奈央に言いました。 「俺は絶対に逃げないし、君を捨てる気もない。でもな、奈央……自分のい通りにならないからって、すぐに『私を捨てる気か』って喚いて周りを脅すの、もうやめてくれ。……今の君は、君のお父さんにそっくりだ」と。 奈央は取り乱して部に閉じこもりました。 でも、僕はもうこれ以、彼女の言いなりにはなれません。 お母さん、僕はどうすればいいでしょうか』

お父さんにそっくり。

その言が、私の胸を激しく突いた。 奈央は、父親の横暴を嫌っていたはずだった。 母親を召使いのように扱い、自分のに沿わないと鳴り散らす俊彦を、軽蔑していたはずだった。

それなのに。 いざ自分が守られる側から、誰かと対等に向きうになった途端。

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