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"「母を助けないで」腎臓提供の前日、十五歳の甥は私に縋った" 第11話

もう、族のだけで解決しようとしてはいけない。 に訴えても、罪悪をぶつけっても、この獄は終わらない。 必なのは、個のを挟み込まない、徹な「社会の制度」だった。

翌朝、事態はさらに最悪の形で加速した。

拓が運ばれたのと同じ総病院の、別フロアにある透析センター。 妹の真理が、パニック発作を起こして暴れたという連絡が入った。

私が透析の待スペースに駆けつけると、すでにそこには異様な空気が漂っていた。 カーテンの向こうから、ヒステリックな絶叫が響いてくる。

「嘘よ! 拓が自殺未遂なんて、そんなの嘘に決まってる!」 真理の声だった。 「あの子がそんなことするわけないでしょ! 学が騒ぎてて、児相に連絡したってどういうことですか!? 所のにられたらどうするのよ!」

自ドアのにっていた私は、全の血が凍りつくのをじた。

子供が命を絶とうとした直だというのに。 妹のから真っ先にたのは、子供の体への配ではなく、「児相」と「世体」への恐怖だった。

カーテンを引きけると、真理はベッドので護師に押さえつけられていた。 透析の針を自ら引き抜こうとしたのか、シーツのに赤黒い血の斑点がび散っている。

「真理、やめなさい!」

私の姿を認めた瞬、真理の形相が般若のように歪んだ。

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「お姉ちゃん! あんたね! あんたが学に変なこと吹き込んだんでしょ!?」 妹は血った目を剥きしにして、唾をばしながら私を指差した。 「庭内の恥をに晒して、児相なんか呼んで! 私を母親失格にして、社会から抹殺する気!? あんたが腎臓を寄こさないから! あんたがあんな類を突きつけて私を追い詰めたから、拓までおかしくなったんじゃない!!」

そのだった。 私のポケットので、スマートフォンがけたたましく鳴り響いた。

画面を見ると、実の母方の叔母からだった。 迷わず通話ボタンを押し、スピーカーにした。

『由紀ちゃん! あんた体何やってるのよ!』 スピーカーから、をつんざくような甲い鳴り声が病に響き渡った。 『真理ちゃんから泣きながら話があったわよ! あんた、壇で術を断って、あの子を見殺しにする気なんですって!? おまけに拓君まで巻き込んで騒ぎにして! 親族の恥さらしもいい加減にしなさい! 今すぐ病院に謝って、同にサインしなさいよ!』

病にいた医師も、護師も、全員が息を呑んできを止めた。

真理はベッドので、勝ち誇ったような、歪んだ笑みを浮かべていた。 親戚を方につけ、世体と徳の刃で私を切り刻めば、私が屈すると信じ込んでいるのだ。 これまでの、父や母がきていた頃から、ずっとそうやって私から奪い続けてきたように。

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私は呼吸をつした。 胸の奥にあった激しいりは、すっと消えていた。 ただ、絶対零度の静寂だけが広がっていた。

「叔母さん」 私の声は、驚くほどく、透き通っていた。

『な、何よ! 反論する気!?』

「そんなに真理がで、私のやっていることが許せないなら。……あなたがドナーになってあげてください」

話の向こうが、ピタリと静まり返った。

「叔母さん、真理と血が繋がっていますよね。私の辞退届はもう受理されましたから、今からあなたが適性検査を受ければ、最でヶには術できますよ。実印と保険証を持って、今すぐこの病院の移植コーディネーターに来てください。先に代わりましょうか?」

『な……な、何言ってんのよ! 私には私の活があるし、歳だって……!』

「の体にメスを入れさせるのは簡単なのに、自分の体の部を差しす覚悟はないんですか?」 私は淡々と言い放った。 「せないなら、度とを挟まないで。野の無責任な同で、この子たちのをこれ以歪めないでください」

通話を切った。 そして、そので叔母の番号を着信拒否に設定した。

病は、恐ろしいほどの静寂に包まれていた。 真理の顔から、笑みが完全に消えっていた。をパクパクとけ、信じられないという目で私を見げている。

「お、お姉ちゃん……あんた、本気で……」

「本気よ」 私は真理を見ろした。

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