"娘を押し付けた夫、九年目の誤算" 第25話
話は方に切れた。
、曜。公休。
朝、私は役所の民課の窓へ向かった。
申請に夫の名を者として記入し、「戸籍全部事項証」を請求した。数料は百円。
交付された枚の用を、私は窓では広げず、そのまま封筒に入れて持ち帰った。
自宅の卓で静かに広げたそのには、残酷なまでの真実が、役所の公印とともに刻まれていた。
戸籍の者は瀬秀。
妻・ゆき。男・。男・公平。
そして――女・莉子の欄。
実母の欄には『野島マキ』の名が刻まれ、その横に『認』の文字と付。
母としての私の名は、莉子の分事項のどこを探しても、文字たりともしなかった。
向井弁護士の言葉が蘇る。
『何がいてあって、何がいていないか』
関係があったのは、神の導きなどではなかった。こののに、私の名が「かれていない」というかぬ事実そのものだった。
そのの午、私は唱団の友である咲ちゃんの母親に話を入れた。
「曜の唱団の、夕方まで莉子をお宅でお預かりいただけないでしょうか。庭内の込み入った話しいがありまして、子供には聞かせたくないのです」
咲ちゃんのお母さんはく引き受けてくれた。
「もちろんいいわよ! 夕方にはで送っていくからね」
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、曜。
パート帰りに向井法律事務所へち寄り、完成した婚協議の雛形を受け取った。
慰謝料の請求条項、財産分与、養育費の算定表。額の欄はあえて空欄にしてある。
「曜の席では、これを見せる必はありません。『すでに弁護士のによって類が作成されている』という事実を示すだけで分です」
「はい」
帰り、コンビニのマルチコピーにち寄り、夫のスマートフォンから撮した枚のトーク画面の写真を、カラーで鮮にプリントアウトした。枚円、計百円。その領収も、計簿のポケットへと収めた。
その夜、帰宅した夫に告げた。
「、にお義母様が見えます。事なお話しいですから、にいてください」
夫は敵な笑みを浮かべた。
「ようやく観したか。……棚卸しの残業は、午に回してやるよ」
、妻が子供全員を引き取っててくと泣きついてくる。夫はそう信じ込んで疑っていなかった。
計簿のに、戸籍謄本、枚のカラープリント、そして婚協議の入った封筒をねて置いた。
のと、の。
あのつの夜、私の元には何つ武器がなかった。
だが、今夜の私の元には、すべてが揃っていた。
そして――冒の、曜の朝が訪れた。
に起き、と公平のためにつの弁当箱を埋めた。
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半、が部活の練習試へとかけた。
「母さん、今、何かあるんだろ」
「ええ。帰ってきたら、全部話すわ」
「分かった」
、公平が部活へと向かった。
玄関先で度だけ振り返り、「ってきます」と力く告げてってった。
半、莉子が唱団の練習へとかける準備をえた。
「ってらっしゃい。咲ちゃんのお母さんが、夕方に送ってくれるからね」
莉子は靴の踵をトントンとえ、度へた、りで玄関へ戻ってきた。
「お母さん……今、何かいいことあるの?」
「どうして?」
「お母さんの顔がね、いつもと全然違うから」
私はしゃがみ込み、莉子の乱れた髪を優しくえた。
「いいことかどうかは分からないけれど……とても切な話しいがあるのよ」
「ふーん! じゃあ、ってきまーす!」
莉子のさな背が、眩しい朝ののへと駆けしてった。
分。
私は卓を丁寧に拭き清め、つの湯呑みを並べた。夫の分、義母の分、そして私の分。
この卓で、私が自分の湯呑みを最初から並べたことなど、度もなかった。いつも族全員にし終えた、自分の分を台所でったまま注いでいたのだ。
ちょうど。玄関の引き戸がき、義母が入ってきた。
夫はリビングのソファにふんぞり返り、テレビのワイドショーを眺めていた。
私は無言でテレビのリモコンを操作し、画面を消した。
卓の子をつ引く。
夫が正面、義母がその隣、私がの向かい側。