みかん小説
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"娘を押し付けた夫、九年目の誤算" 第13話

卓を叩く必すらなかった。数字の帳尻は、残酷なほど正確に致していた。

万円は、がから消え、別の女の懐へと流れ込む。

その女が誰であるのかを、私はすでにっていた。っていながら、まだ夫には告げなかった。

今ここでをけば、夫は激して鳴り散らすか、あるいは見苦しく泣きついて許しを請うかのどちらかだ。どちらの反応をされたところで、私が本当にに入れたいものはに入らない。

私が欲しているのは、夫のい涙でも、先だけの謝罪でもない。

この歪みきった族の檻ので、子供たちと共に胸を張ってきていくための、法に完璧なだった。

翌の曜の夕方、義母が突然がへとやってきた。

曜は、義母が訪ねてくる曜ではない。

「秀からさっき、話があったのよ」

玄関のがり框で靴を脱ぐなり、義母は苛ちをわにして言った。

「あの子、すっかり疲れ果ててるじゃないの。会社も景気で変で、料までがったっていうのに……それなのに、よその子供まで背負わされて!」

私は流しのからゆっくりと体を回転させ、義母の目を正面から見つめた。

「……莉子は、このの子供です」

義母は馬鹿にしたように先で笑った。

「戸籍のではそうでしょうよ! でもね、あの子はあんたの親戚の子でしょ! うちの秀の血なんて、滴だって入ってやしないのよ!」

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義母はリビングの子にドカリと腰をろし、私を見げた。

「あんたの親戚が引き取ればいいじゃないの! 事があって預かったって言ったって、もうよ、! そんな親戚の事なんて、とっくに片付いてるはずでしょうが!」

義母はさらに捲してた。

「秀は昔から本当に優しい子でねえ。あんたが泣きついてきたも、あんたの親戚の子を引き取ってやったも、全部秀で背負ってくれたんじゃないの。母親の私が言うんだから、違いないわよ!」

あんたが泣きついてきた、というのはの倫発覚ののことだ。

あんたの親戚の子を引き取った、というのはの玄関ののことだ。

義母ののでは、そのつの事件が都よく別々の美談として切りされ、どちらも「愚鈍な嫁を救ってやった優しい息子の武勇伝」としてき換えられていた。

私の親戚に、莉子を引き取れるなどしない。

そもそも、莉子は私の親戚の子などではない。

そのつの真実を、私は喉元までかかりながらもにすることができなかった。

つ目を言えば、義母は即座に「じゃあ施設に放り込みなさい」と言い放つだろう。つ目をかせば、義母はこのので莉子のことを「棒猫の倫の子」と呼び始めるに違いない。

義母のからそのおぞましい言葉がびした瞬、莉子がこの、爪先ちで築きげてきた庭のの居所は、瞬にして瓦解してしまう。

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や公平のでも、学や唱団のでも、あの子は度と顔をげられなくなる。

だから私は、つ目の言葉を選んだ。

「莉子は、私が育てます」

義母は子の背もたれにふんぞり返り、呆れ果てたように吐き捨てた。

「育てるって言ったって、秀のおでしょ!?」

「私のパート代で育てます」

「あんたがパートにられるのも、秀が稼いでるからだってこの言ったでしょうが! 本当に、恩らずな嫁ね!」

堂々巡りだった。このにとって、こののにするすべての価値は「秀の功績」であり、私の費やしてきたは、その都のいい理屈のに跡形もなく溶かされていた。

その、ガチャリと玄関のドアがいた。

「……ただいま」

莉子の声だった。学から帰宅したのだ。

義母は声のトーンをわずかに落とした。落としはしたが、言葉を止めることはしなかった。

「とにかくね、これ以秀に余計な負担をかけないで頂戴。あの子は、あんたの側の内なんだからね!」

莉子は廊に佇んだまま、リビングへ入ってこようとはしなかった。ランドセルを背負ったまま、居の入りからじっと私の顔を見つめていた。

義母は「じゃあね」と吐き捨てるように言い残し、莉子の横をまるで端のころでも避けるかのように通り過ぎて玄関をてった。

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