"5年付き合った社長に退職届を出した日、私だけが知らなかったこと" 第11話
隣にいる
ので、い音が鳴り続けていた。
目をけると、空気にいものが漂っていた。エアバッグがき、ベルトが体にい込んでいた。
直さんが、私を呼んだ。
「彩乃、ける?」
私は彼のほうを見た。額から血が流れていた。
「直さん、どこが痛い?」
「腕が……。でも、先に、あなたは?」
私は自分の体を確認し、話を探した。
部座席からも声がした。怜司は識があったが、をかせないと言った。
私は救急へ連絡し、所と数を伝えた。通りかかったも、の脇へ来てくれた。
直さんがこうとしたので、私は声を掛けた。
「無理にかないで。来てくれるから」
に触れると、彼が握り返した。
事故のあとのことを、全部正しく覚えているわけではない。
直さんは救急で運ばれ、怜司も別ので搬送された。私も診察が必だと言われ、病院へった。
誰と同じに乗れたかより、がどこへ運ばれたかを確かめるのに必だった。
診察を受け、私にはきなけががないとわかった。
直さんは腕の骨折と打撲があり、額の傷も処置された。命に関わる状態ではないと聞いてから、膝の力が抜けた。
病へ入ると、彼が私を見た。
「無事だった?」
私は頷いた。
「あなたのほうが、こんなことになってるのに」
涙がた。彼は片方のを伸ばした。
私はベッドの脇へ座った。
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彼の携帯話には、職からの連絡が来ていた。私が返信を代わろうかと言うと、彼はし休んでから自分で連絡すると答えた。
私は頷き、充器を取りした。何でも代わりに引き受けなければならないわけではなかった。
をむのを伝い、眠くなったと言われると子をし引いた。呼ばれたら聞こえる距で、その寝顔を見ていた。
「、急に向きを変えたでしょう」
「避けたかった。にわなかったけど」
彼はそれ以、勇ましいことを言わなかった。
「怖かったね」
その言で、私はまた泣いた。
事故の調査は警察と保険会社がめた。の、相のが交差点へ入り、私たちのと衝突したという。直さんの作だけで誰かを守れたと、簡単に言えるものではなかった。
私は、彼が私の無事を確かめてくれたことを覚えていた。
理さんが病院へ来て、仕事の調をした。
「必な連絡はこちらでやる。今は、ここにいていい」
私は礼を言った。
怜司の担当者からも連絡が来た。彼は脚と肋骨を負傷し、入院がくなるという。
私は容体を確認し、業務については理さんへ引き継いだ。
彼を配しないわけではなかった。事故に遭ったの無事は、気になった。
ただ、恋として何をすべきかという考えは、もう浮かばなかった。
直さんが退院できるとわかってから、私は理さんと怜司を訪ねた。
彼はベッドで体を起こしていた。顔は悪く、には固定具がついていた。
理さんは見いの挨拶をし、仕事の延期について確認した。
怜司が私へ目を向けた。
「し、で話せますか」
理さんは私を見た。
私は頷いた。
「いなら」
彼女は廊で待つと言い、扉を閉めた。
怜司はしばらく、元を見ていた。
「ようやく、わかった」
私は返事を待った。
「彩乃は、もう私のところへ戻らないんだね」
「はい」
彼は目を閉じた。
私は子へ座らなかった。窓から入るが、ベッドの端に落ちていた。
い沈黙のあと、彼は顔をげた。
「は、私が呼べば来てくれた。今度も、謝ればにうとっていた」
私は彼を見た。
「謝ることと、戻ってほしいと言うことは、別です」
彼は頷いた。