みかん小説
本棚

"「産めない」と婚約破棄された私が、52歳の夫の双子を授かったら" 第12話

お姉ちゃんの席

子どもたちが6かになったころ、美咲さんが休暇で帰ってきた。

私は息子を抱き、のマットで泣いている娘に話しかけていた。息子には髪を引っ張られ、片ではどうにもほどけなかった。

玄関から来た美咲さんは、数秒、その様子を見ていた。

「私、ここに来れば楽ができるとっているだと、決めつけてました」

「代わってみます?」

私は息子を差しした。

彼女はバッグを置き、受け取った。私は髪を直してから娘を抱いた。

「この子、ずいぶんくなった」

「毎ですから」

美咲さんは、息子に向かってし顔をしかめた。息子は笑った。

その晩、泣き声で起きてきた彼女は、浩さんと交代でミルクを作った。

朝には目のに隈ができていた。

「どうして、交代で泣くんですか」

「当番制なんじゃない?」

私が答えると、彼女はため息をついた。

「連携がよすぎる」

それから父親を見た。

「私も、こんなだった?」

「おで、この分くらいだったよ」

「お父さん」

私は哺乳瓶を置いて笑った。

夕のとき、美咲さんが箸を置いた。

「財産のことも、ちゃんと話しておきたい」

浩さんはを止めた。

「みたいに、誰かを疑いたいわけじゃない。お母さんから受け継いだものと、お父さんがこれからどうしたいかは、分けて聞きたい」

彼は頷いた。

「恵子からおが受け継いだものは、おのものだ。

広告

私の財産については、族が増えたことも踏まえて、専に確認し直している」

「は?」

「おに残したいと考えている。ただ、にけばそれだけで何でも済むわけではない。紗季の暮らしや子どもたちのことも、きちんと考えて決める」

美咲さんが私を見た。

「紗季さんは?」

「私も話しいます。あなたのお母さんから受け継いだものに、をすつもりはありません。でも、私と子どもたちの活まで、どうでもいいとは言えません」

彼女は頷いた。

「それは、そうですよね」

以なら、この返事ができなかったかもしれない。

私は魚をほぐしながら言った。

「何もりませんと言えばしてもらえるのかもしれません。でも、ずっとそう言い続けなければ族でいられないなら、困ります」

浩さんが私のほうを向いた。

「そんなことは言わせない」

美咲さんも首を振った。

「私も、もう求めません」

彼女は箸を取った。

「もっと、揉めるとってたんです」

「今から、揉めたいですか」

私が聞くと、彼女は笑った。

「いいです。眠いので」

隣で娘が声をげた。美咲さんは私が用した乳を取り、さなスプーンでべさせ始めた。息子にも、交代であげた。

片方がを閉じると、無理に入れずに待っていた。

息子が掛けを引っ張ると、美咲さんはスプーンを置いて直した。そのに娘が声をげ、今度はそちらへ向き直る。

広告

「ずつにしてください」

赤ちゃんに言っても仕方がないのに、真剣な声だった。浩さんが笑うと、彼女は父親にも言った。

「笑ってないで、私のお茶を取って」

私はその、自分のご飯をべた。

美咲さんは、箸を持つもないと文句を言った。浩さんが代わろうとすると、あとだけ、と返した。

事が終わるころ、彼女が言った。

「検査のとき、紗季さんが謝ればすぐ許してくれるじゃなくて、よかったです」

私は顔をげた。

「甘えたままだったとうから」

返事を考えていると、娘がスプーンを握った。美咲さんは困って、そのを見た。

「今度は、こっちがしてくれない」

私は笑い、スプーンをもう本した。

片づけのあと、私はリビングの額を見た。梅の刺繍は、引っ越したと同じ所にあった。

そのに、子どもたちと美咲さんの写真が枚増えていた。

浩さんが撮った写真だった。彼女はを抱いて、し困った顔をしていた。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: