"「産めない」と婚約破棄された私が、52歳の夫の双子を授かったら" 第11話
謝っても、消えない言葉
美咲さんは、私が差しした報告を読んだ。
枚目を戻し、枚目を見る。読み終わっても、すぐには顔をげなかった。
私は急かさなかった。隣の浩さんも黙っていた。
やがて彼女は、報告を揃えてテーブルに置いた。
「すみませんでした」
声が震えていた。
「紗季さんを疑って、子どもたちまで巻き込みました。こんな検査を受けることになったのは、私のせいです」
私は頷いた。
以のように、何について謝っているのかと聞く必はなかった。
「あの話のときも、帰ってきたときも、自分が怖いことばかり考えていました」
彼女は私を見た。
「でも、怖かったから仕方ないとは、っていません」
私は膝ので封筒を畳んだ。
「聞けて、よかったです」
すぐに丈夫だと言う気にはなれなかった。だから、それだけ答えた。
「この話は、今で終わりにしてください。これから、何か気に入らないことがあっても、また疑いを持ちさないで」
「はい」
美咲さんは頷いた。
浩さんがをいた。
「私も、につと言いながら、紗季に説させてしまった」
彼は私と娘を順に見た。
「美咲、おがだという話は、これからも聞く。ただ、紗季や子どもを傷つけたあとで、私にわかってもらおうとするのはやめなさい」
「うん」
彼女は目を拭いた。
そのとき、寝から泣き声がした。
広告
私はちがりかけた。美咲さんが先に子を引いた。
「見てきます」
浩さんもついていった。
になると、私は背もたれに体を預けた。胸の奥で張っていたものが緩み、ひどく疲れていることに気づいた。
泣き声の向こうで、美咲さんが父親に聞いていた。
「この子、さっきミルクんだよね」
「んだ。おむつかな」
で話している声を聞き、私はしだけ目を閉じた。
美咲さんが帰国してから、ベビーとコアラのぬいぐるみが届いた。
カードには、につずつ、といてあった。そのにはさく、お父さんも勝にもらわないで、と付けしてあった。
浩さんは笑った。
「私が、これを欲しがるとうのかな」
私はカードをアルバムに挟んだ。ぬいぐるみは、子どもたちの顔のくには置かず、棚につ並べた。
健診を終えたあと、族だけでささやかな事会をした。
に連絡をくれた所の女性が、お祝いのお菓子を持ってきた。以、私の結婚について噂していたもいた。
「男の子と女の子なのね。おめでとう」
私は礼を言った。
昔の話を持ちす気にはならなかった。ただ、誰にどこまでをくかは、私が決めていいとっていた。
子どもたちが眠くなったところで、訪問はく終わった。
3かのころ、引きしを理していて、昔の検査結果を見つけた。
直の母親に渡しただった。
私は机に広げ、もう度読んだ。数字も、用語も、当のままだった。私の体についてかれていたが、この先どうきるべきかまではかれていなかった。
浩さんが洗濯物を抱えて入ってきた。
「それ、の検査?」
私は頷いた。
「捨てるの?」
「取っておきます」
彼は何も言わず、子どもたちのを引きしにしまった。
私はを畳んだ。
もし妊娠しなかったら、今もあの言葉に縛られていただろうか。
そううと、し悔しかった。妊娠したから、初めて直が違っていたことになるわけではない。
浩さんが私と結婚したのは、子どもができるとるだった。
を封筒へ戻していると、寝から娘の声がした。
夫が先に扉へ向かった。
「今は私がく。紗季は、し休んで」
私は頷き、引きしを閉めた。