"「産めない」と婚約破棄された私が、52歳の夫の双子を授かったら" 第5話
本当に、お父さんの子なの?
「できないとは言ってないよ。に話しただろう」
浩さんの声から、さっきまでの弾みが消えた。
美咲さんはフォークを皿に置いた。
「でも、難しいって聞いてた」
「今、病院で確認してもらったんだ」
「……そう」
彼女は画面の端にいる私を見た。私は何か言おうとしたが、美咲さんのほうが先だった。
「本当に、お父さんの子なの?」
浩さんのが止まった。
私はマグカップをテーブルに置いた。底が当たる音が、やけにきく響いた。
「美咲。今、何と言った」
「確認したほうがいいんじゃないかって言ってるの」
「何を根拠に、そんなことを言うんだ」
「お父さんは52で、そのは31でしょう。結婚してすぐ妊娠して、しかも双子って……」
「それが、紗季を疑う理由になるのか」
美咲さんは唇を噛んだ。それでも、引かなかった。
「お父さん、何でも信じすぎるから」
「紗季に謝りなさい」
「私は、お父さんのために言ってるんだよ」
直も、同じようなことを言った。
母さんは俺のためをっている。そう言えば、私を傷つけても仕方がないことになるらしかった。
浩さんがスマートフォンを自分のほうへ向けた。
「私のためだと言うなら、妻を侮辱しないでくれ」
美咲さんの顔が歪んだ。
「もう、そっちの族のほうが事なんだね」
「そっちって、何だ」
「しい奥さんと、これからまれる子ども。
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お父さんには、もう全部あるじゃない」
彼は黙った。
画面の向こうで、美咲さんが目元を拭いた。
「お母さんがいなくなっても、私にはお父さんがいるとってたのに」
「私は、おの父親だ。それは変わらない」
「今は、そう言うでしょうね」
私は膝のに置いたを見た。
美咲さんが怖がっていることは、しわかった。けれど、そのをぶつけられるたびに、私まで黙って受け止める必があるのだろうか。
浩さんが言った。
「落ち着いてから、また話そう。ただ、今の言葉は聞き流せないからな」
彼女は返事をせず、通話を切った。
リビングが静かになった。
浩さんはスマートフォンを伏せ、私を見た。
「紗季、私は疑っていない」
「わかっています」
「今の結果を、緒に見たばかりなのに……」
彼は額にを当てた。私はマグカップを持ってちがった。
「今は、もう休みます」
「待って」
を伸ばしかけ、彼は引っ込めた。
「になりたい?」
私は頷いた。
「しだけ」
寝に入り、ベッドの端に座った。
嬉しかったはずのだった。帰りには、赤ちゃんがいるなんて信じられないねと、何度も話した。
それなのに今は、私が誰かに証しなければならない話になっている。
まだ目たないお腹にを置いた。
この子たちがまれてからも、同じことを言われるのだろうか。
しばらくして、ドアが鳴った。
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浩さんがを持ってきた。枕元に置くと、しれた子に座った。
「、私から美咲に連絡する」
「検査を受ければ、納得するでしょうか」
彼が顔をげた。
「親子鑑定のこと?」
「何もろめたいことはありません。でも、これからも疑われるなら……」
「受けなくていい」
返事はかった。
私は彼を見た。
「それで、美咲さんは黙りますか」
浩さんはすぐには答えなかった。
「黙らせるために、紗季が検査を受けるのは違うとう」
「私だって、受けたいわけではありません」
声がくなった。彼は頷いた。
「うん。ごめん」
私はグラスを取った。をむと、し喉が痛かった。
「私だけじゃなく、この子たちまで疑われたのが嫌なんです」
浩さんは子からち、ベッドの脇にしゃがんだ。
「私から、きちんと話す。今のことを、なかったことにはしない」
私は頷いた。それ以話すと、泣いてしまいそうだった。
翌朝、彼は勤に美咲さんへ話をした。
私はキッチンで、分の湯を沸かしていた。斎のドアが閉まっていたので、話の内容までは聞こえなかった。
しばらくして、浩さんがてきた。
「美咲が、帰ってくるそうだ」
私はをめた。
「いつですか」
「航空券が取れたら、すぐに」
彼は私の隣にった。
「帰ってきても、昨の続きを紗季にさせるつもりはない」
私は鍋のを見たまま聞いた。
「美咲さんにも、そう伝えましたか」
「伝えた」
そのの昼、彼女から浩さんに、予約した便の報が送られてきた。
帰国するのは、2だった。