"「産めない」と婚約破棄された私が、52歳の夫の双子を授かったら" 第4話
あのには、いていなかった
朝はべられなかったが、昼にはおにぎりをつべられた。胃のむかつきも治まり、ししていた。
ところが夕方、焼き魚の匂いでまた気分が悪くなった。元を押さえる私を見て、浩さんがコンロのを止めた。
「匂い、駄目だった?」
私は頷き、台所かられた。彼が換気扇をくして、窓をけた。
「おかゆなら、べられそう?」
「今は、まだわからないです」
「そっか。じゃあ、あとでね」
3目も吐き気が続き、所の内科へった。
症状を聞いた女性医師に、最の経はいつだったかと尋ねられた。スマートフォンの記録を見ると、っていたよりが空いていた。
「もともと規則なので」
「妊娠の能性はありますか?」
私は首を振りかけた。
「以の検査で、難しいかもしれないと言われていて……」
「それでも、確認はしておきましょう」
検査のあと、医師に告げられた。
「妊娠反応がています。産婦科を受診してください」
私は隣の浩さんを見た。彼も、医師の顔を見たまま固まっていた。
「私が、妊娠ですか?」
医師は頷いた。
病院をると、浩さんが私のバッグを持った。
「、産婦科にこう。私も仕事を調するから」
私は頷いた。それでも、帰りでは妊娠という言葉をにできなかった。
翌、診察台に横になり、超音波検査を受けた。
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医師は画面を見ながら、探触子の角度を変えていた。私は両を組み、井を見ていた。
「何か、おかしいんでしょうか」
「順番に確認していますからね」
返事を聞いても、落ち着かなかった。検査が終わるまで、指先に力が入ったままだった。
浩さんも診察に呼ばれた。彼は受付票を握っていて、座るときに膝へ置いた。
医師が画面をこちらに向けた。
「子宮のに、妊娠が確認できています。それから、赤ちゃんは2ですね」
浩さんが顔をげた。
「2?」
「双子です」
私は画面を見た。医師が示す所を目で追っても、まだよくわからなかった。
「ここに。こちらにも」
浩さんが私を見た。
「紗季、双子だって」
聞こえていた。でも、何と答えればいいのかわからなかった。
以の検査について聞かれ、スマートフォンに残していた結果を見せた。
「このとき、妊娠できないと言われましたか?」
「難しいかもしれない、と。そのあと、婚約者の族に……」
途で声がなくなった。
医師は写真を読み、私に向き直った。
「この結果だけで、妊娠できないとは判断できません。当も、今の経過を見て相談するという説だったのではありませんか」
私は頷いた。
そう言われていた。最初は、私も何度もそう説した。
けれど、直と別れ、紹介された男性の連絡が途絶えるたび、自分のほうが違っている気がしてきた。
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気づけば、誰より先に私が諦めるようになっていた。
膝のに涙が落ちた。
浩さんがを寄せた。
「どうしたの。つらい?」
私は首を振った。医師が差ししたティッシュを取り、目元を押さえた。
嬉しかった。ただ、すぐに笑えるほど簡単ではなかった。
28歳の私に、この話を聞かせたかった。会社の受付で段ボールの蓋を閉じていた私に、あのたちの言葉が全部ではないと教えたかった。
医師は私が落ち着くのを待ち、今の健診について話してくれた。私は説を聞き、帳に次の受診をいた。
帰宅すると、浩さんは蔵庫をけては、私のところへ戻ってきた。
「牛乳はめる?」
「今は、いいです」
「果物は?」
「あとで、自分でしますから」
彼は頷き、ソファに座った。ところが、すぐにちがった。
「写真、もう度見てもいい?」
私は封筒を渡した。彼は画像を覗き込み、指で示しかけて、に触れるのをやめた。
その様子がおかしくて、ようやく笑えた。
夜、美咲さんからビデオ通話がかかってきた。
浩さんが私を見た。
「話してもいい?」
私は頷いた。
「美咲、今、紗季と病院にってきたんだ」
彼の声が弾んだ。
「妊娠した。双子だそうだ」
画面の向こうで、彼女のフォークが止まった。
しを置いて、美咲さんが聞いた。
「……子どもは、できないんじゃなかったの?」