"「産めない」と婚約破棄された私が、52歳の夫の双子を授かったら" 第2話
欲しいのは、子どもではなく
佐伯浩さんは、ホテルのラウンジで待っていた。
いシャツに紺のジャケット。私に気づくと聞を畳み、ちがった。笑うと目尻の皺がくなった。
挨拶を済ませ、席に着いた。茶を注文すると、私はすぐに切りした。
「先に、お伝えしておきたいことがあります」
彼は聞を脇へ置いた。
「以、婦科で検査を受けました。妊娠について配なことがあります。お子さんを望んでいらっしゃるなら、最初にお話ししておこうとって」
相の返事を待つこのが、番嫌だった。
「絶対に無理だと、言われたんですか」
「いいえ。そこまでは」
「そうですか」
彼は頷いた。それきり、治療についても、検査の詳しい内容についても聞かなかった。
「気になりませんか?」
私から聞くと、彼はし考えた。
「子どもが欲しくて再婚を考えたわけではないので」
茶が運ばれてきた。私はカップの置き所を空けた。
「娘が、もう26です。今さらもう育てるなんて、考えていませんでした」
「では、どうして再婚を?」
彼は苦笑した。
「でべる夕飯に、飽きまして」
私は彼を見た。
「仕事で変なことがあっても、帰って話す相がいないでしょう。朝も、自分でおはようと言って、自分で返すわけにいかないし」
わず笑うと、彼も笑った。
「もちろん、誰でもいいわけではありません。
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会って話して、また会いたいとえるなら」
治療すればどうにかなるのかと、聞かれなかった。子どもを諦める代わりに何ができるのかも、求められなかった。
私は茶をんだ。さっきまでをつける気になれなかったのに、喉が渇いていたことに気づいた。
「娘さんには、再婚のことを話しているんですか」
彼はカップを置いた。
「はい。ただ、賛成はしていません」
私は膝のにを戻した。
「それなら、難しいといます」
「娘のことですか」
「最初から嫌われているに入るのは、怖いです。私がすればいいということになるなら、無理です」
直の母親の顔が浮かんだ。結婚するのは本同士だと言っても、その言葉だけで族との問題が消えるわけではなかった。
浩さんは、しばらく黙っていた。
「娘が嫌だと言う気持ちは、聞くつもりです。でも、この先どう暮らすかまで、娘に決めてもらおうとはっていません」
「私に何か言ったら?」
「私が話します」
「そので、ですか」
彼は私を見て、頷いた。
「そので」
私はバッグからをした。
そのは、1ほど話した。
浩さんは横浜で建材卸の会社を経営していたが、商売の話より、庭の雑が抜いても抜いてもえてくる話のほうがかった。
「休みのは、むしりですか?」
「それと買い物ですね。所のスーパー、曜の朝は卵がいんです」
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私はまた笑った。
をるに、彼が聞いた。
「今のお話を聞いて、やっぱり難しいといましたか」
私は首を振った。
「もう度、お会いしたいです」
2度目に会ったとき、浩さんは、美咲さんが養女であることを話してくれた。
「さいころから、本もっています。妻とで育てた、事な娘です」
「私がっていることは、美咲さんも?」
「話してあります。ただ、ほかの方には……」
「言いません」
彼は礼を言った。
そのも、私たちは会うたびに話をした。
私が仕事を続けたいこと。の名義を変えてほしいとはっていないこと。くなった奥さんの写真や持ち物が残っていても、片づける必はないこと。
浩さんは、私にわせて何でも頷くではなかった。事の好みも、休に起きるも違った。それでも、見を言っただけで嫌を悪くすることはなかった。
3か、31歳になった私は、彼と婚姻届をした。
区役所の窓では、類の確認が淡々とんだ。続きが終わり、にると、浩さんが聞いた。
「何か、変わった気がします?」
「まだ、あまり」
「私もです」
彼がを差しした。私はし迷ってから、そのを取った。
同じへ帰った。
3、美咲さんからビデオ通話がかかってきた。