"追放された妻と「離婚しないで」と泣く愛人" 第16話
親戚たちのざわめきが、きくなる。
「そしてお義母さんは、私の病に来てこう言いました。『あんたはいらないから、男の孫だけ置いてでてけ』って」
「め、滅相もない! 私はそんなこと……!」
「私の姉と、産院のソーシャルワーカーので仰いましたよね?」
美優の姉が歩にて、鋭い声で告げた。 義母は言葉を失い、喉をヒクヒクと震わせた。
美優は直を瞥した。 そこにあるのは、かつての甘えたなどではなく、底れない軽蔑だった。
「直さん。あなたは私をしていたんじゃない。妻の千恵さんに逃げられそうになって、自分の世話と母親の介護を押し付けるための、次の都のいい女が欲しかっただけ。子供のことも、ただ母親を縛り付けるための具としかっていなかった」
美優は親戚同に向き直り、きっぱりと言った。
「に入る気は、輪際ありません。子供は私がで育てます。直さんには、法律で定められた父親としての銭責任だけを、きっちり果たしていただきます」
静まり返った広に、美優の言葉がく突き刺さった。
伯父が、震えるで座卓をく叩いた。
「直……富美さん……! なんという恥さらしだ!」
伯父の顔は、羞恥とりで真っ赤に染まっていた。
「親戚を集めて嫁を糾弾するどころか……浮気相に子供を産ませて逃げられ、妻の子供の学資保険にまでをつけ、挙句の果てに警察汰にまでなりかけていたのか!? の名を踏みにじったのは、千恵さんじゃない、おたち親子だ!」
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「伯父様、違います! 直は騙されたんです、この女たちに……!」
義母がにをついて縋り付こうとしたが、伯母がたく線を逸らした。
「いい加減にしなさい、富美さん。千恵さんがどれだけして、あなたたちの面倒を見てきたか……私たちは何もらなかったけれど、この帳簿を見れば目瞭然じゃないの。恥をりなさい」
直は畳のに線を落とし、刻みに肩を震わせていた。
私はちがった。 ビジネスバッグを肩にかけ、直のにった。
男の顔には、かつて私を見していた傲さの欠片も残っていなかった。 ただ、すべてを失ったの、みっともない怯えがへばりついているだけだった。
「直さん」
私は静かに問いかけた。
「あなたが私を追いしたのは、私が至らなかったから? それとも、女を取り替えれば、夫として、父親としての責任を全部チャラにできるとい込んでいたから?」
直は答えなかった。 いや、答えられるはずがなかった。
「追求する幸せを違えたんじゃないわ。あなたは最初から、誰かを踏み台にしなければ、自分の幸せすら描けないだったのよ」
私は美優にさく会釈をした。 美優もまた、痛みを堪えるような表で、微かにをげた。
私たちは友達にはなれない。 傷つけられた過が消えることもない。 けれど、同じ男の醜悪な罠から、それぞれので抜けしたという事実だけが、そこに残っていた。
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私は襖をけ、の本をにした。
背から、伯父の鳴り声と、義母の泣き叫ぶ声が追いかけてきたが、度も振り返ることはなかった。
それからヶの、現実は淡々と、けれど容赦なく直と義母を追い詰めていった。
庭裁判所での調を経て、正式に婚が成した。
宅ローンが残るマンションは、直の単独名義のまま残された。 私への財産分与と、使い込まれた学資保険の返還、そして子供たち分の正当な養育費。 さらに、美優の子供に対する養育費の支払い。
毎の与からそれらの費用が引きされた、直の元に残るは、万円にも満たなかった。
は売却された。 週末のゴルフやみ会など、度とけるはずもなかった。
直の実では、義母の膝の痛みが悪化し、常活にも支障が始めていた。 だが、かつて当たりのように病院へ付き添い、湿布を買い、夕飯の惣菜を届けていた「千恵さん」は、もう世界のどこにもいない。
直は仕事終わりに実へ通い、慣れない自炊と母親の愚痴に追われ、みるみるうちに痩せこけていったという。
度だけ、直から弁護士を通じて「子供たちに会いたい」