"追放された妻と「離婚しないで」と泣く愛人" 第6話
「内祝い?」
「ええ。『の本物の跡取りがまれたって、親戚にらせなきゃいけないから、番い箱入りのタオルと赤飯を分注文しろ』って言われました。私が、そんなおないって言ったら……」
美優は度言葉を切り、喉を鳴らした。
「直さん、笑ったんです。『何を言ってんだ、おが会社に戻ればすぐ入ってくるだろ』って」
胃のあたりが、ずしりとくなった。
「……復職の話?」
「はい。私、直さんに言われたんです。『産はゆっくり休んでいい』って。『母さんも伝ってくれるから、無理に働かなくていい』って、妊娠ずっとそう言われてたんです。だから私、アパートを引き払って同居する話も、しは信じようとしてたのに……」
美優の息が乱れる。
「今、会社の総務にいる同期から、個に連絡が来ました。直さん……私の会社に、勝に話をかけてたんです」
「……会社に?」
「『妻の瀬ですが、産ヶで育児休業を切りげて復帰させたい。受け入れの続きはどうすればいいか』って、私の名を使って問いわせてたんですって」
背筋に、たい汗が流れた。
「私、まだ傷も塞がってないんですよ? 会の縫の跡が痛くて、まともに座ることもできないのに……ヶで復帰? 赤ちゃんを置いて? どうしてそんなこと……」
「美優さん」
私は静かに言った。
「義母は、何て言ってたの」
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受話器の向こうで、美優が息を呑んだ。
「……お義母さんは、昼、私のベッドの横でこう言いました。『美優さんはまだ若いんだから、でしっかり稼いでくればいいのよ。子供の教育にはおがかかるんだから。赤ちゃんの面倒は、私が全部見てあげる。それが番効率がいいでしょ』って」
やっぱりそうか、と乾いた確信が胸を打った。
義母が欲しかったのは、「しいお嫁さん」ではない。 自分に従順で、答えをせず、の名を継ぐ「男児」を産み落とし、あとはでを稼いで庭に運んでくるだけの便利な働きだ。
そして赤ん坊は、自分の元で、自分のい通りに育てる。 母親から引きし、自分の所物として囲い込む。
「……私ね、千恵さん」
美優の声が、急激にさくなった。 罪悪と、悔が混ざりった、酷くけない声だった。
「妊娠、お義母さんに気に入られたくて……LINEで送っちゃったことがあるんです。『直さん似の元気な男の子を産みます』って。『千恵さんみたいに、お義母さんをイライラさせたりしません』って……」
私は何も言わなかった。 責める気にもならなかったし、慰める気にもなれなかった。
「私……自分が特別な所に選ばれたんだって、いたかったんです。直さんが私を選んでくれて、お義母さんも私を歓迎してくれてるって。でも、違った。私、最初からただの……ただの具だったんですね」
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「そうよ」
私は淡々と言った。
「あなたはその具の役割を、自分で引き受けたの。の奥さんを追いして、子供たちの居所を奪う助けをしてまでね」
「……っ」
「同はしないわ。でも、逃げたいなら今しかない。度あのに入って、赤ちゃんの健康保険証や民票をあの親子の元に握られたら、あなたは、あのの無の政婦兼ATMよ」
美優は、息を殺して私の言葉を聞いていた。
「……私、どうすればいいですか」
「言ったはずよ。自分のは自分で決めなさい。産院の医療相談にって、『庭環境に問題があり、退院の同居が困難である』と伝えなさい。親族がいるなら、そっちを頼るのね」
「姉が……隣のにんでます。でも、直さんにはられたくなくて」
「なら、退院のは姉に来てもらいなさい。直やお義母さんには内緒でね。病院側にも、夫とその母親の面会を制限するよう申しれば、産院は母子の全を最優先にしてくれるわ」
「……千恵さん、どうしてそんなに落ち着いていられるんですか」
美優の問いに、私はわずさく息を吐いた。
「落ち着いてなんかないわよ」
話を切る直、私はそれだけを伝えた。
がりで震えるのを、の芯のたさだけで無理やり押さえ込んでいるだけだ。
翌週の曜。
私は休暇を取り、午から区役所とを回っていた。
まず最初にったのは、世帯分の続きと、児童当の受者変更の申してだった。