"23年尽くした妻の追放✕四十九日の愛人親子" 第3話
理恵は、専業主婦として義母の世話をするためにあのに入ったわけではない。 「広い軒で、夫に守られながら悠斗と暮らせる」と信じてやってきたのだ。 それなのに、待っていたのは空っぽの蔵庫と、義母からの理尽な事の求。
「健司さん、ちょっとどういうこと? 私、今仕事あるんだけど。お義母さんの朝ごはん作れって言われても、何がどこにあるかも分からないし、材すらないじゃない」
勤の健司に詰め寄る理恵の声が、目に浮かぶようだった。 夫はきっと、ネクタイを締めながら面倒そうにを鳴らしたはずだ。
「おもこのに入るんだから、しずつ覚えればいいだろ。母さんも悪気があって言ってるんじゃないんだからさ」
「覚えるって……私、政婦として来たんじゃないんだけど!」
満を募らせる理恵が、苛ち紛れに核へと踏み込んだのは、そのの夜のことだった。
仕事を終えて帰宅した理恵は、居の散らかりように耐えかね、健司のにった。 悠斗は畳の隅で、寂しくゲームの画面を見つめている。
「健司さん、そんなことよりリフォームの話、どうなってるの?」
理恵の鋭い声が、静まり返った居に響いた。
「悠斗の部、いつ事入るの? 今には自分の部ができるって言ったから、私、の賃貸の解約届をしたのよ。
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もう戻りできないんだけど」
健司は線をスマートフォンからさず、返事をした。
「ああ、業者と話は詰めてるよ。親父がんだばっかりで、すぐにドタバタ事するのも所の目があるだろ。もうし待てって」
「待てって、いつまでよ」
理恵の瞳に、らかな信のが宿った。
「私、先週の曜に、あなたの個座に240万円振り込んだわよね? あれ、悠斗のために私がコツコツ貯めてきた全財産よ。事の付だって言うから渡したのに、程表の枚も見せてもらってないんだけど」
「だから、ちゃんとめてるって言ってるだろ! 俺を疑うのかよ!」
声を荒らげる健司。 そのとき、隣の部からお茶の盆を持ってきた義母が、議そうな顔をしてを挟んだ。
「業者? 事って……健司、なんの業者のことだい?」
居の空気が、ピシリと音をててひび割れた。
「……お義母さん、今なんて言いました?」
理恵の線が、子へと突き刺さった。 子は盆を持ったままち尽くし、息子としい女の顔を交互に見比べた。
健司の額に、微かに汗が滲んでいる。
「母さんは関係ないだろ。あー、親父の法で疲れてボケてんだよ」
「ボケてないわよ!」
子はプライドを傷つけられたように声を尖らせた。
「業者なんて、あんた、のにが入ってくるような話、私は言も聞いてないわよ。
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だいたい、そんなおがどこに――」
「母さん、黙ってろって!」
健司の声に、隅にいた悠斗がさく肩を震わせた。
理恵の顔から、完全に表が消えた。 彼女はカバンからスマートフォンを取りし、画面を健司の目のに突きつけた。
「先週の振込細。健司さんの座に、確かに240万円入ってるわよね。これ、老朽化した階のをにリフォームして、悠斗の勉部と私たちの寝にする準備だって、あなた言ったわよね?」
健司はバツが悪そうに目を泳がせ、舌打ちをした。
「だから! 見積もりを取ってる最なんだよ! なんだよ、を貸してやったみたいな偉そうな態度は。俺たちがこれから夫婦になるなら、の修繕にをすのは当然だろ!」
「夫婦になる? 婚姻届もまだしてないのに?」
理恵の声がくなった。 そのを取り繕おうと焦ったのか、子が引きしをごそごそと漁り始めた。
「あ、あるわよ! ほら、事の見積もりなら、に恵子さんが取ってたがあったはずだから……」
子が差しした枚のしわくちゃの。 それを取りげた理恵は、数目をらせた瞬、たい笑いを漏らした。
「……お義母さん。これ、半の付ですよ」
「え?」
「それに、台所の排管の修繕事っていてある。子供部のリフォームなんて文字も入ってない」
のには、私の几帳面な字でメモが残されていた。
『費用過のため見送り。当面の庭予算とわないため、パッキン交換のみで対応』