"23年尽くした妻の追放✕四十九日の愛人親子" 第2話
「……分かりました」
私はく答えた。 そして、放りされたゴミ袋には目もくれず、玄関の靴箱のから自分のハンドバッグをに取った。
運転免許証、マイナンバーカード、スーパーのパートの従業員証、保険証。 自分名義の通帳と印鑑、毎朝んでいる圧剤のシート。 きるために最限必なものだけをバッグの底に確かめ、私は度も振り返らずに玄関の引き戸をけた。
は、たいのが吹き抜けていた。 灯のを歩きながら、私は同じスーパーで働く友、美の顔をい浮かべていた。 数、「もし何かあったら、うちのれが空いてるからね」と言ってくれた、あの温かい言葉だけが、暗のの灯りだった。
美のの客に荷物を置き、借りた布団に横たわったのは、付が変わる頃だった。 体の芯までえ切っているのに、神経だけが異常に冴え渡っていた。
枕元で、スマートフォンがく震えた。 夫からのメッセージだった。
『の朝、いつもの買いし用のカード置いていくのを忘れるなよ。おがてっても、の活が止まるわけじゃないんだからな』
画面の文字を見つめたまま、喉の奥から乾いた笑いが漏れそうになった。
……は? 何を言っているの、このは。
あの男は、自分が私を追いしたことのを、何つ理解していなかった。
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翌朝、午6。 私は普段とまったく同じに目を覚まし、パート先であるスーパーの惣菜厨へ向かった。
に着替え、マスクと子を装着し、巨なフライヤーにを入れる。 業務用の千切りキャベツをにさらし、ポテトサラダの仕込みを始める。 油のねる音と換気扇の轟音のにを置いていると、昨夜の屈辱がい世界の来事のようにえた。
だが、現実の綻びは、向こうの常から音をてて始まった。
午7半。 休憩に置いてあった私のスマートフォンが、激しく振し始めた。 画面には「子さん」の文字。
私はエプロンをし、でを洗ってから、ゆっくりと通話ボタンを押した。
「もしもし」
受話器の向こうから、鼓膜を突き破るような鳴り声がび込んできた。
『恵子さん! あんた、朝の配達はどうしたのよ!』
義母のヒステリックな声だった。
『毎週曜の朝は、コープの野菜と牛乳が届くはずでしょう! 玄関先にてみたら何も置いてないじゃないの! 蔵庫のも空っぽよ! どういうつもりなの!』
私は、淡々と答えた。
「ああ、あれなら昨の夜、ネットから定期便の解約続きをしました。私個のクレジットカードで引き落とされていたものですから」
『……はあ!?』
受話器の向こうで、息をむ気配がした。
「それから、お義母さんの昼用の配サービスも、私の名義でしたので止の連絡を入れてあります。
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これからはご自で配なさるか、健司さんにしい契約を結んでもらってください」
『な、何言ってるのよ! 23あんたがやってきたことでしょうが! ついでに配するくらい、減るもんじゃないでしょ! 今からさい子もいるのよ! 朝ごはんもべさせられないじゃないの! 血にもほどがあるわ!』
私は、わずたい笑いを漏らしそうになった。
「昨、お義母さんはおっしゃいましたよね。『しいお嫁さんは、私よりずっと気が利く』って。なら、その方に作ってもらえばよろしいじゃないですか。私にはもう、関係のないご庭の事です」
『恵子さ――』
言い募る声を遮り、私は通話を切った。 そして、その番号を着信拒否に設定した。
その頃、の台所がどうなっていたか。 それは像に難くなかった。
昨夜のの法で残った、仕し料理のプラスチック容器。 親戚たちが使った量の湯呑みと急須。 それらが、シンクのに積みにされたまま放置されていたはずだ。 いつもなら、私が法の当夜のうちにすべて洗い、気を拭き取り、仏の押し入れに片付けていたものたち。
居では、起きてきた理恵が途方に暮れていたに違いない。 お腹を空かせた悠斗が「ママ、朝ごはんまだ?」とぐずり、 それに対して義母が「嫁のくせにいつまで寝てるの」
「く顔を洗って朝を作りなさい」と急きてる。