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"妹に婚姻書を奪われ、豚小屋へ" 第3話

すごく甘くて美しいから、慮しないでんでおくれ」

沈夫はそう言うと、腰の籠からに鈍くるな筒を取りし、晩のに握らせた。

渡された筒の蓋をけようとした晩は、その異様なみと触りに指を止めた。表面には繊細な彫が施され、どう見ても物のブリキやステンレスではない。

「あ、ありがとうございます……あの、おば様。この筒……素材は何でできているんですか? どう見ても、純か何かのように見えるのですが……」

沈夫はきょとんとした顔で首を傾げた。

「ん? 私もよく分からないんだよ。うちの息子が『頑丈で持ちするからこれを使え』って持たせてくれたものだからねぇ」

「もしこれが本物のなら……このさだけでも、なくとも数百万円はりませんよ?」

「へえぇ、そうなのかい? まあ、がたく美しくめれば何でもいいんだけどねぇ」

筒つに何百万円という価値があると聞かされても、沈夫は眉毛つかさず、暢気に笑っている。晩は目を丸くした。

(おば様……筒つにそんながかかっているかもしれないのに、全然驚かないなんて……)

「さあさあ、こんなところでち話をしていても仕方がないよ。くから揺られてきて疲れただろう。くうちに戻ってを伸ばしておくれ。ついでに、うちの息子にも顔を見せてやっておくれよ」

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沈夫は晩のボストンバッグへを伸ばした。

「あ、おば様! これ、いですから自分で持ちます!」

「これこれ、この子ったら臭い慮をしちゃって。これからは族になるんだからね。族同士で慮なんかしちゃ駄目だよ」

――族。

その温かい響きが、晩の乾ききった胸の奥にじんわりと染み渡った。

実の親から度も向けられたことのない、無償の労わり。目がくなるのを必に堪えながら、晩は沈夫のに続いて歩きした。

留所の脇には、代物の耕運がめられていた。

「さあ、これに乗っておくれ。しっかり掴まっているんだよ」

「おば様、わざわざここまで迎えに来ていただいて……本当に申し訳ありません」

沈夫は振り返り、慈に満ちた目で晩のを握りしめた。

「何を言っているんだい。あんたはい都会から、こんな奥に嫁いできてくれた事なお嬢さんなんだ。このに来たからには、絶対に苦労なんてさせないよ。してついておいで」

力く握られたのひらの温もりに、晩は溢れそうになる涙をこらえ、く頷いた。

耕運が埃を巻きげながらむこと分、界がけた先には、広な敷を持つ養豚が現れた。周囲をい森林に囲まれ、澄んだ空気が漂っている。

母の玄関先に耕運が滑り込むと、沈夫はきな声を張りげた。

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「ただいま帰ったよ! 陳汐、おのお嫁さんを連れてきたよ! く玄関にておいで!」

母の奥から、慌ただしい音が響いてきた。現れたのは、で肩幅の広い、浅黒く焼けした青だった。作業着の袖をまくり、逞しい腕にはがしついている。

青の瞳が晩の姿を捉えた瞬、その端正な顔ちが驚きで見かれた。

「母さん……本当に連れてきたのか。……あんな綺麗な都会のお嬢さんが、俺みたいな田舎で豚の世話ばかりしている男のところに来るなんて、すぎるだろ。今からでもをして、駅まで送り返した方がいい」

陳汐の慮がちな言葉に、沈夫は腰にを当てて叱りつけた。

「何を馬鹿なことを言ってるんだい! あんたが優しく事にしさえすれば、苦労するわけがないだろう! それにね、あちらの事はちゃんと調べがついているんだよ。あの子の実の両親は、幼い頃から妹ばかりを甘やかして、あの子が血反吐を吐いてて直した会社まで妹にくれてやったんだ。今回はからつで追いされてきたんだよ! 今送り返してみなさい、またあの欲な連にタダ働きさせられて骨の髄までしゃぶり尽くされるだけじゃないか!」

陳汐は息を呑み、痛ましげな差しを晩に向けた。

「世のに……そんな酷い親がいるのか。

……それなら、なおさらだ。あの子がここに残ってくれるなら、俺たち族で絶対に粗末に扱っちゃいけない」

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