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"22年育てた継娘の挙式前夜、親族席を奪われた母" 第12話

発言は調委員を通じてお願いします」

調委員の初老の男性が、困惑したように類をめくりながら咳払いをした。「ご主、申側からの財産分与および精算の請求についてですが、客観な証拠が揃いすぎています。奥様がて替えたリフォーム代、および婚姻の貢献分。これらを清算しない限り、調の成は難しいですよ」

「そ、そんな、あるわけないだろ!」隆之が机を叩いて声を荒らげた。

「あのは親父から受け継いだ俺のだ! 売れるわけがない! 真理子、おだって暮らしただろうが! それを叩き売ってを巻きげるなんて、のがないのか!?」

の。その言葉が、あの男のからた瞬、私の胸の奥でたい失笑が漏れた。

「隆之さん」私は調委員に会釈し、静かにを見据えた。

「結婚式の夜、あなたは何とおっしゃいましたか? 『血の繋がっていないおが慮するのは当然だ』『細かいことにこだわるな』……そう言いましたね」

隆之が息を詰まらせ、線を泳がせた。

「あなたが私を族として扱わなかったように、私ももう、あなたを夫として扱う理由がありません。私は法に正当な私の財産を回収するだけです。論でおけを乞うのは、おやめになって」

「俺たちには、のがあるだろ!」隆之が叫んだ。

「、苦楽を共にしてきた夫婦じゃないか! 美咲を緒に育てげただろう! あいつが巣った今、これからで穏やかに老を過ごすはずだったんだ! お、すら湧かないのか!?」

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「があったから、傷ついたんです」

私の声は、調の静まり返った空気のに、い氷のように落ちた。

「があったからこそ、の事も、護も、お弁当作りも、無償で捧げてきました。それをただの『都のいい居候』として切り捨てたのは、あなた自です。……私にを求める資格は、あなたにはミリもありません」

隆之の顔から、さっと血の気が引いていった。唇をワナワナと震わせ、両でを抱え込む。

調委員が淡々と告げた。「ご主、自宅を売却して清算を支払うか、あるいは与の差押えと競売申てを受けるか。つにつです」

カチ、カチ、と壁掛け計の秒針の音だけが、男の逃げのない破滅を刻み続けていた。

ヶ。

夫が頑なに執着していたあの戸建ては、産業者のによって売却された。売却益のから、私のリフォーム替百万円と、過の活費清算分、そして慰謝料を含めた千百万円が、私の個座へ括で振り込まれた。

隆之の元に残ったのは、雀の涙ほどの端だけだった。退職もまだ先、残ったではたなマンションを買うこともできず、彼は駅から徒歩分の、当たりの悪い造アパートへ引っ越したと聞いた。

自炊など度もしたことがない男だ。毎スーパーの半額弁当を買い、溜まった洗濯物に囲まれ、誰の話し相もいない畳で、きりの老を迎えることになった。

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方、美咲の元にも、過酷な現実が突きつけられていた。

アトリエのポストに、通のが届いていた。差は、林悠太くん。

丁寧な文字で、事の経緯が綴られていた。婚姻届の提は見送られ、美咲は悠太くんの実の両親から厳しい条件を突きつけられたという。

『私たちはあなたをまだ族として認めていません。育ての親に対する義理を働いたが、たな庭を誠実に築けるはずがない。同居してから信頼を積み直す覚悟があるなら、婚姻関係の継続を考えます』

美咲は今、悠太くんの実の敷内にあるれで、肩の狭いいをしながら暮らしているらしい。仕事から帰れば義母の事を伝い、親族の集まりでは座に座り、かつて私が担っていた「政婦のような役割」を、今度は自分が背負わされる側になったのだ。

実母の由紀子さんは、あの夜を最に、美咲のから完全に姿を消した。「私には母親を名乗る資格も、あなたを甘やかす義理もない」といういメッセージだけを残して。

失うはずのない確かなを蹴にして、掴みどころのないを追った結果が、これだった。

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