"22年育てた継娘の挙式前夜、親族席を奪われた母" 第10話
由紀子は美咲を瞥した。 その目は、実の母親としてのけ容赦のない審判の目だった。
「美咲。あなたも同じよ。自分の父親がどれだけ卑劣かっていながら、を私に向けて読んだ。失うはずのない確かなにあぐらをかいて、育ててくれたを裏切ったのよ。悠太さんがるのは当然だわ。……で、悔しなさい」
由紀子は踵を返し、玄関へ向かった。
「待てよ、由紀子! 話を聞け!」 隆之が縋り付こうとしたが、由紀子は振り返りもせず、ドアをく閉めて夜ののへ消えていった。
残されたのは、散らかったリビングと、呆然とち尽くす父娘だけだった。
翌朝の。 アトリエの作業台で、私は女性弁護士の先と向かいっていた。
先は、私が提した分い類の束を際よくめくりながら、嘆の声を漏らした。
「本さん、素らしいですね。これだけ完璧に系列と証拠が揃っていれば、裁判官も切の疑を抱きませんよ」
テーブルのに並べられた証拠の数々。 ・の自宅全面リフォーム、私の個座からリフォーム会社へ直接振り込んだ百万円の領収と振込細。 ・過にわたり、活費を理由に夫の座へ補填し続けた、総額百万円の送記録。 ・夫の貞為を匂わせる過のメールや、美咲の結婚式から図に私を排除した連の経緯を記録したメモ。
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「ご主は『は親から相続した自分の特財産だから、円も渡さない』と主張されるでしょう。ですが、法律はそう甘くありません」
先は鏡の奥の目を鋭くらせた。
「ご主の特財産であっても、婚姻期にあなたの固財産から投じられたリフォームによって建物の資産価値が維持・増加した事実はです。この百万円は、財産分与において清算の対象となります。さらに、過の送記録とあなたの事労働の寄与分を考慮すれば、相方には極めてい銭支払義務が発します」
「先、私はあのおを取り戻して贅沢がしたいわけではありません」 私は静かに言った。
「ただ、私がこののために削ってきたを、滴たりともあの男の懐に残したくないだけです」
「ええ、よく分かります。すでに本付で、ご主の与座の仮差押え準備に入りました。同に、婚姻費用分担請求と、財産分与および慰謝料請求の予告通を内容証郵便で発送してあります」
先が頼もしく頷いた。
その、私のスマートフォンが激しく振した。 画面には夫の名。 私は着信を拒否し、源を落とした。
その頃、自宅のリビングでは、隆之が獄の真っ只にいた。
「おい、真理子! 話にろ!」 何度コールしても繋がらない画面に、隆之は鳴り散らしていた。
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喉が渇いて蔵庫をける。 いつもならえた麦茶のポットと、鉢に分けられた常備菜が然と並んでいるはずの棚。 だが、そこにあるのは、賞期限の切れた調料の瓶と、空っぽのペットボトルだけだった。
「チッ……飯はどうなってんだよ!」
洗濯置きへけば、脱ぎ散らかした昨の礼と美咲のドレスが積みになっている。 呂を覗けば、垢の浮いたバスタブがえ切ったまま放置されていた。
費の請求が郵便受けに溢れていた。 どの座から引き落とされているのか、いつまでに支払えばいいのか、隆之には何つ分からない。 、通帳の管理も、公共料の支払いも、役所の続きも、すべて真理子が黙って処理してきたからだ。
「おい、美咲! お、飯くらい作れないのか!」 リビングに戻った隆之が鳴る。
ソファの隅で膝を抱えていた美咲が、気のない目で父親を見げた。 「私……料理なんて、お母さんに教わったことないもん。全部、お母さんがやってくれてたから……」
「役たずが!」 隆之が叫んだその、インターホンが鳴った。
郵便配達員だった。 渡されたのは、通の赤い帯が印刷された内容証郵便。
差は、『本真理子 代理 弁護士 涼子』。
封を破り、の文面を目にした瞬、隆之の顔から血の気が引いた。
『婚姻費用分担請求:額万円』 『過のリフォーム替および財産分与清算:千百万円の請求』 『法為に基づく精神苦痛に対する慰謝料:百万円の請求』