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"22年育てた継娘の挙式前夜、親族席を奪われた母" 第7話

由紀子はその言葉を信じていた。 育ての母がく席を譲ってくれたのだと。 自分を許してくれたのだと。

だが、乾杯の挨拶が終わり、会が暗転したときから、異様な違が会を包み始めた。

巨スクリーンに映しされた、婦のいちムービー。 歳までの美咲の写真には、幼い由紀子とのツーショットが何枚も流れる。 だが、歳から卒業までの写真——運会、入学式、修学旅、ピアノの発表会。 美咲の隣につの姿が、自然なまでに切り取られていた。

写真の端に写り込む、見覚えのない濃紺のスーツの肩。 美咲の髪を結ぶ、指先だけのカット。 画面に「いつも温かく見守ってくれた母」というテロップが流れるたび、由紀子は眉を寄せる。

……この写真のとき、私はこの子のそばにいなかった。 お弁当を作ったことも、運会の朝に所取りをしたこともない。 この切り取られた画面の側にいたのは、体誰なの?

「婦より、お母様へ謝のの朗読です」

司会者の厳かなアナウンスが流れ、スポットライトが斉に美咲を照らしした。

美咲は震えるで、ピンクの便箋を広げた。 砂の隣につ悠太の顔は、先ほどからく張ったまま、度も美咲と目をわせていない。

「お母さんへ」

美咲の声がマイクを通じて響いた。

「ぶりの再会から半。

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こうして私の結婚式を見届けてくれて、本当にありがとう」

由紀子は胸にを当て、涙ぐんだ。 だが、美咲が次に読みげた言葉で、会の空気が妙にざらつき始めた。

「私が受験の、毎晩遅くまで勉していたとき、部のドアのに温かいココアを置いてくれたこと……」

由紀子の眉が、ぴくりとねがった。

……ココア? 私が? その頃、私は美咲がどこで暮らしているかすららなかったはずなのに。

「インフルエンザでをして、夜に病院へ運ばれたとき、週ずっとパイプ子で私のを握り続けてくれた温もり……」

美咲の声が、次第に掠れていった。 便箋を持つ指先が、目に見えてガタガタと震え始めている。

「毎朝に起きて……作ってくれた、あの梅干しのお弁当……」

美咲の線が、便箋かられた。 客席に座る由紀子の顔を、そして隣でふんぞり返る父親の顔を、怯えたように見つめる。

由紀子は泣いていなかった。 の涙などではなかった。 目を見き、信じられないものを見るようなたい目で、美咲を見つめ返していたのだ。

——違う。 それは私のいじゃない。 私のらない、誰かのだ。

会のあちこちから、微かなざわめきが漏れ聞こえ始めた。 美咲の代の友たちが、顔を見わせている。 「美咲のお母さんって、いつもお弁当箱にい刺繍のナプキン包んでくれてた、あのお母さんじゃないの?」

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「あの方、誰……?」

美咲は言葉に詰まった。 喉の奥が引き攣り、続きの文章を声にすことができない。

便箋の次のには、こうかれていた。 『品師みたいに、ミシンで私のを直してくれた魔法の。由紀子さん、私を育ててくれてありがとう』

読めない。 読めるはずがなかった。 目のに座る由紀子のは、マニキュアが綺麗に塗られた、細く滑らかなだった。 ミシン針の刺し傷だらけの、あの節くれだった温かいとは、似ても似つかない。

「……う、あ……」

美咲のから、掠れた嗚咽が漏れた。 を途で乱暴に折り畳み、逃げるようにくをげる。

「……以です。ありがとうございました!」

拍は、まばらだった。 の涙に包まれるはずだった披宴会は、氷を打ったような、苦しく居の悪い沈黙に支配されていた。

披宴が終わり、来賓たちが引き揚げたの親族控。

い扉が閉まった瞬、悠太が美咲のにちはだかった。 その表には、普段の穏やかさは微も残っていなかった。

「美咲。どういうことか説してくれ」

悠太のい、りを孕んだ声が部に響く。 部の隅には、悠太の両親がい表で腕を組んでっていた。 厳格な教育者である悠太の父親は、侮蔑を隠そうともしない目で隆之を睨みつけている。

「な、何がよ、悠太さん……。今は私のれ台なのよ? どうしてそんな怖い顔するの……」

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