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"十三通の退職届と百七回の着信" 第1話

板の入りにった黒田さんが、を腕にかけたまま笑った。

「このもこれで終わりだな。」

広には12が座ったままだ。

板の者も座敷の者もだ。

誰1、私と目をわせない。

黒田さんは私を見据えてをいた。

「32だ。俺がこのをどうやって回してきたか、あんたには分からんだろう。」

私は黒田さんの顔を見た。

「分かりました。」

黒田さんが歩にた。

「それだけか。」

私は柱にをかけたまま答えた。

「皆さんが決めたことですから。」

黒田さんのが半分いたまま止まった。

言い返されるとっていたのだろう。

黒田さんは顔をしかめて吐き捨てた。

「で泣きついても遅いぞ。」

私は静かに頷いた。

「はい。」

13の音が玄関の方へざかっていく。

父の葬儀が終わってから、私がのの代表に就いたその翌の朝だった。

私は引き止めなかった。

泣きもしなかった。

広の柱にをかけたまま、その音を最まで聞いていた。

半から引っかかっていたことが1つだけある。

それが何だったのかは、もうし先の話になる。

私はさく息を吐き、静まり返った広を見渡した。

話は、そのの10から始まる。

私は篠原綾乃、36歳。

のはずれの川沿いに建つ料亭「の」の娘だ。

のは曾祖父が始めたで、創業から84になる。

座敷が8と、50が入る宴会が1つある。

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法事も顔わせも会社の接待も、のは昔からのを使ってきた。

私は学をて京のホテル会社に入り、宴会との運営をしていた。

献を組むのは料理の仕事で、私の仕事は予約とと数字だった。

料理は作れない。

今も作れない。

半、父から話があった。

父は話越しにく言った。

「帰ってこい。」

件は言わなかった。

帰ってみると父は痩せていて、板につがよりくなっていた。

父は私に真っ直ぐな線を向けた。

「経営の方だけおが見ろ。」

私は会社を辞めてのへ戻り、役員として帳簿と予約との采配を引き受けた。

父は板のことで私に指図したことが1度もない。

任せると言ったきり、をさないだった。

私はそれを娘への信用だとっていた。

父は帳に座ったまま私に告げた。

「板には黒田がおる。おは座敷と数字を見ろ。」

父はそう言った。

ただ、戻ってきてからの半のに、2度か3度、父が帳の庫をけて何かをき込んでいるのを私は見ている。

売の帳面ではなかった。

垢の黒くなった学ノートだ。

私は父の背越しに尋ねた。

「何をいているの?」

父は表をで押さえてこちらを振り向いた。

「のことだ。」

それだけ答えた。

103の朝、父が板で倒れた。

仕込みの最だったという。

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運ばれた先で識は戻らず、そのの夕方にくなった。

68歳だった。

病院の廊で私が最初にしたのは、その週の予約を数えることだった。

しむより先にがく。

ホテルで12やってきた癖だ。

翌から4、のは忌でを閉めることになった。

通夜には200くが来た。

も商のも、40うちに魚を納めている商のさんも来た。

みんな父の名を呼んで泣いた。

さんは受付のでいことっていた。

63歳になる商の2代目だ。

のと商の付きいは父の代のからで、に260万円ほどの魚が40ずっとこの川沿いのへ運ばれてきた。

さんは私の顔を真っ直ぐに見た。

「綾乃さん、は続けなさるんでしょう。」

私ははっきりと答えた。

「続けます。」

さんはく頷いて、それ以は何も言わずに帰っていった。

黒田さんは受付のろにって、来る来るにをげていた。

板の黒田誠治さん、58歳。

26歳でのに入って32になる。

父が1番く緒に働いただ。

黒田さんは痛な面持ちでをいた。

「先代には世話になりました。」

黒田さんはそう言って来るごとに腰を折った。

その姿を見て、私はこのには礼を言わなければとった。

その考えが最初に揺れたのは、通夜が終わったの着替えのだった。

追い回しの柚圭吾君が、典の受付で名簿の順を違えた。

追い回しというのは板で1番の役で、り回るのが仕事だ。

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