"十八年間消えていた夫の保護者席要求" 第5話
『まあ昔のことはいい。それより卒業式だ。式のあとにのでプロのカメラマンに撮らせるからな。全福……族写真を撮るぞ。俺と美咲、それから美さんも呼んである』
スピーカーから聞こえたその名に、私の喉がヒッと引き攣れた。
林美。 18、夫のトランクに入っていた青いユニフォームのもう1の持ち主。 夫が臨の私を置きりにして、アメリカへ連れてった。 その女が、健の再婚相として今も隣にいるのだ。
『美さんもさ、おの格を自分のことのようにんでるんだ。「優秀な娘さんができて誇らしい」ってな。あいつも緒に写真に入れば、完璧な族写真になる。……ああ、真紀にも声をかけてもいいぞ。お母さんも端っこの方なら、緒に写っても構わないからな』
『……全福?』
美咲が、初めて語気をめた。
『お父さん。あなたは、私の卒業式に来たいの? それとも、会社に提する写真が欲しいだけ?』
内のざわめきが瞬、のいたようにじられるほどのたい問いだった。
『な……何言ってんだ。父親が娘のれ台を祝うのは当然だろ! 写真なんてそのついでだ!』
『ついでなら、写真は撮りません。学の保護者席も、お母さんとおじいちゃんで決まってます』
『美咲! 親に向かって何だその態度は! おがここまできくなれたのは、誰のおかげだとってるんだ! 養育費だって、俺が働いて稼いだからしてやったんだぞ! 恩を仇で返す気か!』
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激昂する元夫の鳴り声。 周囲の客が振り返った気配が、カトラリーの止まる音から伝わってくる。
けれど、美咲は怯まなかった。
『お父さん。私が学になった、ピアノの謝が払えなくて諦めたこと、ってますか?』
『は……?』
『受験の、私が塾の費用を気にして、特待の枠に入るために毎吐きそうになりながら勉してたこと、ってますか?』
『そ、そんなの真紀が俺に相談しなかったからだろ!』
『お父さんが養育費を振り込まなくなったからです。おじいちゃんが、自分の退職を取り崩して私の教科代をしてくれてました』
元夫の荒い息遣いだけが、スピーカーから響く。
『……お父さんが私のにいなかった18、私は度もあなたの名を必としませんでした。今さら、あなたの会社の記誌のために、私の18を使わないでください』
ガタッと子を引く音。
『おい、美咲! 待て! 話はまだ終わってないぞ!』
『ごちそうさまでした。お、美しかったです』
カツ、カツと美咲のローファーがざかる音とともに、録音はそこで途切れた。
*
静まり返ったリビングで、私は震える指先を握りしめていた。 涙が、勝に両目から溢れしていた。
18歳の娘に、こんなを被らせてしまった。 母親である私が、もっと毅然とあの男を叩き潰しておくべきだったのに。
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娘にこんな残酷な現を踏ませてしまった悔と、健への激しい憎悪で、界が歪む。
「美咲……ごめんね。お母さんが、もっとちゃんと……」
「お母さん、泣かないで」
美咲は私の隣に座ると、ティッシュを1枚引き抜いて私のに握らせた。 そのはしたかったけれど、指先にはしっかりとした力がこもっていた。
「私ね、あのと話してみて、本当によかったとってるよ」
「よかったって……あんな勝なことばかり言われて……」
「うん。確認できたから。あのは、父親をやりたくなかったんじゃない。ただ、自分の都がいいだけ『父親』っていう美しい肩きを使いたかっただけのなんだって」
美咲はテーブルのの名刺を見つめ、ゴミでも見るような目で息を吐いた。
「私のことなんて、これっぽっちも見てなかった。あのの目のに映ってたのは、会社の同僚からの拍と、部としての自分のプライドだけだった」
そう言って、美咲はふと顔をげた。 その真っ直ぐな瞳が、私の目を射抜くように捉えた。
「ねえ、お母さん」
「……何?」
「あの、サッカーを見にアメリカへったって言ってたよね」
臓が、ドクンと嫌なね方をした。
「……ええ。さっきの録音でも、そう言ってたわね」
「その旅って、いつだったの?」
私の呼吸が、喉の奥で止まった。
美咲は逃げることなく、私の瞳を見つめ続けている。
「私、ずっと変だとってたの。