みかん小説
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"十八年間消えていた夫の保護者席要求" 第4話

美咲がこの18、胸の奥底にどれほどく鋭い疑問を抱え込み、そして今というをどう迎撃しようとしているのかを。

その答えは、数のあの暗いファミレスのボックス席で、残酷な形で暴かれることになる。

駅のファミリーレストランから帰ってきた美咲は、玄関のドアを閉めると、靴を揃えて静かに息を吐いた。

っているようには見えなかった。 泣いた形跡もない。 ただ、のたいに晒されていたせいか、頬のあたりだけがく張っていた。

「……美咲、どうだった?」

リビングの入りでち尽くす私に、美咲はく笑ってみせた。

「うん。会ってきたよ。……これ、あのお父さんから」

美咲がテーブルのに置いたのは、文具メーカーの級ボールペンと、方の堅建材メーカーの名刺。 そして、カラーコピーされたA4サイズの社内報のゲラ刷りだった。

名刺には、誇らしげなのエンボス加で『営業第部 部 佐藤健』の文字。 18、ただの平社員だった男は、それなりに社内での階段を登り詰めたらしい。

「何か、嫌なこと言われなかった?」

私の問いに、美咲は制のブレザーを脱ぎながら、スマホをテーブルの央に滑らせた。

「お母さん、これ。あらかじめ録音しておいたから。聞いてみて」

画面には、録音アプリの止マーク。 通話、42分18秒。

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美咲が再ボタンをタップした瞬、スピーカーからファミリーレストランの器の擦れう音と、あの男の、18と寸分違わぬ尊な声が流れした。

*

『おお、美咲か! きくなったな。いやあ、顔ちが俺の若い頃にそっくりだ。やっぱり血は争えないな』

第声から、元夫のテンションは異様にかった。 美咲の座るボックス席にどっかりと腰をろし、員を呼ぶベルを慮なく鳴らす音が響く。

『とりあえず好きなもの頼め。ステーキでも何でもいいぞ。親父が奢ってやるからな。……それにしても国格、たいしたもんだ。うちの部署の連にも自したんだよ。「うちの娘が全国模試でA判定取ってそのまま受かった」ってな。みんな羨ましがってたぞ』

録音のの美咲は、く「ありがとうございます」とだけ答えていた。 興奮して捲してる男と、温度差のある淡々とした女の声。

『でな、美咲。これを見てみろ』

ガサリとが擦れる音。 テーブルのに置かれた、あの社内報のゲラ刷りだ。

『うちの会社、今で創50周なんだよ。それで社内報と域向けの記誌で、模範社員の特集が組まれることになってな。俺が営業部として表彰されるんだが、広報のやつが「ぜひ優秀なお子さんとのツーショットを載せましょう」って言いしてな』

元夫は、得満面にグラスのをみ干す音をてた。

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『「厳格な仕事の父と、難関に格した自の娘」ってストーリーだ。美咲、おが卒業式で証を持ってる横に、スーツを着た俺が並ぶ。どうだ? 絵になるだろ。会社の役員連も見るし、の支連にも配られる。おが将来、就活するときにも顔が利くぞ。親父の社会位ってのは、こういうに使うもんなんだよ』

沈黙。 美咲が何も答えないが、数秒続いた。 録音を聞いている私の胸の奥で、ドス黒いりが泡っていく。

美咲の格を祝いたいのではない。 娘に会いたかったわけでもない。 50周の社内報に、「庭円満で子育てにも成功した能な部」というトロフィーを飾りたいだけ。 そのための具として、18放置していた娘を呼びしたのだ。

スピーカーから、美咲の静かな声が流れた。

『お父さん、サッカー好きなんですよね』

唐突な美咲の質問に、元夫は嬉しそうに声を弾ませた。

『お、ってるのか! 好きなんてもんじゃない、昔はアメリカまで国際試を見にったこともあるぞ。現のスタジアムの気はすごかったなあ。やっぱり男たるもの、世界基準のスケールで物事を見なきゃダメだ。美咲もそううだろ?』

『……へえ。アメリカまで。誰とったんですか?』

『え? ああ……まあ、会社の同僚とだよ。男同士のな。もうずいぶん昔の話だ』

元夫の声が、ほんの瞬だけ濁ったのを、録音越しでもはっきりと聞き取れた。

けれど、すぐに何事もなかったかのように誤魔化し、本題へと引に話を戻す。

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