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"「お前は家族じゃない」と言った夫へ" 第7話

正彦がちがり、私を鳴りつけた。「おがそんな態度だから、族がバラバラになるんだろ! 親戚におの悪を言いふらされてもいいのか!? 『佐藤の嫁はを惜しんで義母を見捨てた鬼嫁だ』って、ろ指を指されてきていくことになるんだぞ!」

世体。この男が気にするのは、いつだって母親の体調でも、妻のでもなく、親戚や所からの「見栄え」だけだった。

「どうぞ、お好きに言いふらしてください」私は微も揺るがずに答えた。

結局、その夜の話しいは号と罵りいのまま決裂した。弘は「俺は円もさん」と捨て台を吐いて帰り、恵子も「お母さんが!」と叫びながらぶらでタクシーに乗り込んで逃げ帰った。

残されたのは、万円の請求を握りしめ、を抱えてダイニングで震える正彦だけだった。

それからの週、正彦の獄が始まった。

自費の乗せサービスを解約したため、毎のようにに来ていた専属の民ヘルパーは来なくなった。公なヘルパーが入るのは、週に回、回につき分程度。掃除と最限の調理、入浴介助をしてくれるだけだ。

義母の「が痛いから揉め」「甘いものがべたいから買ってこい」「散歩に連れてけ」という細々としたが儘を叶えてくれるは、もうにはいなかった。

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当然、義母の矛先は正彦に向かった。

「正彦! 会社くに洗濯物を干していってちょうだい!」「正彦! 腰が痛い! 病院までで送っていきなさい!」「正彦! あのしいヘルパー、私の好みの付けが全然分かってないわ! あなたがちゃんと言ってちょうだい!」

正彦のスマホには、仕事にもかかわらず義母からの着信が数回も鳴り響いた。最初の数は「美智子、おがやれよ!」と私に押し付けようとしたが、私は「私の担当ではありません」と切をさなかった。

朝は分だけ作り、義母の部の掃除は公ヘルパーの訪問に任せ、私は淡々と自分のパートと事だけをこなした。

正彦は母親の通院のためにを使い果たし、夜に義母のトイレの訴えで起こされ、眠で目のに青黒い隈を作っていた。会社でもミスがなり、司から激しい叱責を受けたと、夜に台所で、酒を煽りながら愚痴をこぼしていた。

たった週。私が、当たりのように引き受けていた常のほんの爪の先ほどのみを背負っただけで、正彦のプライドも体力も、音をててすり減っていった。

そして、ある曜の午。

正彦が疲れ果てた取りで、休勤から帰宅したのことだった。玄関のドアをけた正彦は、廊に置かれたきなスーツケースを見て、ピタリとを止めた。

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埃よけのカバーがされ、綺麗に磨かれた紺のキャリーバッグ。その横には、旅用のボストンバッグが置かれていた。

「おい……美智子」正彦がリビングの引き戸を乱暴にけた。声が引きつっている。

「その荷物……なんだよ」

私はリビングのソファで、友と話をしていた。「うん、千歳空港で流ね。ホテルも予約取れたから。楽しみにしてる」通話を終え、スマホを置く。

そして、青ざめた顔でち尽くす正彦に向き直った。

「来週から、へってくるわ。代の友たちと、泊で」

「は……? ……?」正彦の喉が、ヒュッと鳴った。

「ええ。ずっとから約束していたの。義父が倒れたも、お義母さんが骨折したも、全部キャンセルして諦めてきた旅よ。ようやくけることになったの」

「ふ、ふざけるな!!」正彦が目を血らせて叫んだ。首筋に青筋が浮きている。

「お、正気か!? 今、うちがどういう状況か分かってるのか!? 母さんの介護で俺がどれだけ追い詰められてるか見て分からないのかよ! 俺が仕事を休んで母さんの病院の付き添いをしてるんだぞ!?」

「ええ、見てるわよ。変そうね」私はの乗らない声で言った。

「変そうね、じゃねえよ! おが旅なんてったら……母さんはどうするんだよ!誰が飯を作って、誰がの世話をするんだ!?」

正彦のからたその言葉に、私は静かにちがった。

そして、のすべてのいを込めて、氷のように澄み切った瞳で夫を見つめた。

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