"「お前は家族じゃない」と言った夫へ" 第3話
さんの目が丸くなった。 「えっ……解約、ですか? ですが、お母様はあの個別リハビリを非常に頼りにされていますし、公な保険の限度額内だけですと、現のサービス量は維持できませんが……」
「ええ、じております」
私は背筋を伸ばし、淀みなく言葉を続けた。
「義母の介護度は現『介護2』です。公介護保険の区分支限度基準額内であれば、自己負担割(または割)で賄える範囲があります。今は、その『法定の保険付の範囲内』でのみケアプランを再作成してください」
「し、しかし……そうなると、ヘルパーの訪問回数も激減しますし、理学療法士の個別マッサージなどはすべて打ち切りになります。お母様はご納得されているのですか?」
「義母には、男である夫から説させます」
私は元の類を、さんのに滑らせた。
「これは、私が個名義で締結していた事業者への契約解除届です。違約等の続きはすべて確認済みです。そしてこちらは、今のケアプランの同者、および緊急連絡先の変更届です」
さんが類に線を落とし、息を呑んだ。
『主たる介護者および費用負担者:男・佐藤正彦』 『連帯保証:男・佐藤正彦』
私の名は、どこにもなかった。
「佐藤さん……あの、ご夫婦ので、何か……?」
さんは、がの介護を見てきただ。
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夫の正彦が先だけで何もしないことも、義弟や義妹が盆暮れにしか顔をさないことも、すべて私が銭を切って義母の嫌を取ってきたことも、々は察していたはずだった。
「さん」 私は静かに、けれど揺るぎない線で彼女を見つめた。
「私は、義母から『族ではない』とはっきり告げられました」
さんが絶句した。
「、私なりに誠を尽くしてきたつもりでした。けれど、義母にとっても、夫にとっても、私は法な扶養義務者ですらなく、ただの無償の労働力であり、都のいい財布に過ぎなかったのです」
「そんな……」
「私はもう、自分の蓄えを削ってまで、の親の儘を買い支えることはいたしません。もちろん、命の危に関わるような放棄をするつもりはありません。公な制度の範囲内で受けられる正当な介護は、実の子である正彦さん、弘さん、恵子さんが話しって配すべきことです」
さんは唇を噛み締め、しばらく類を見つめていた。 やがて、く息を吐きすと、静かに頷いた。
「……承いたしました。法に、美智子さんにこれ以の負担を法に義務付ける根拠はありません。ケアマネジャーとして、ご男である正彦様と連絡を取り、保険適用の範囲内でのプラン再編、および今の自己負担分の引き落とし座の変更続きをめます」
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「ありがとうございます。よろしくお願いいたします」
私はく礼した。
事業所をた瞬、晩のたいが頬を撫でた。 の杏が、鮮やかな黄に染まって散っている。
胸の奥に、い鉛のような塊が居座っているのは確かだった。 の歳は、そう簡単に無痛にはならない。 虚しさと、れさと、けなさが、胸をチクチクと刺す。
けれど、取りは信じられないほど軽かった。
私はそのままへ向かい、使っていた「活費・介護用」の引き落とし座から、私の個資産の残をすべて別のネットの座へと移し替えた。
残は、百万円ほどしかなかった。 本来なら、私の老資としてもっと残っているはずだっただ。 それを、あのたちの「世体」と「贅沢な介護」のために溶かしてきた。
でも、ゼロになるに気づけた。 それだけで、分だ。
に帰ると、夕暮れの暗い部で、デイサービスから帰ってきた義母が待っていた。
「美智子さん! どこほっつき歩いてたの! 喉が渇いたって言ってるでしょう!」
いつもならすぐに駆け寄り「すみません、今お茶淹れますね」と謝っていた。 けれど、私は靴を揃え、着を脱いでから、ゆっくりと台所へ向かった。
たい麦茶をグラスに注ぎ、義母のテーブルにコト、と置く。
「あら、温かい緑茶じゃないの?」
義母が眉をひそめる。
「急須を洗ってしまいましたので。これでしてください」