"3年墓参りした義父が、古い家の壁の奥で呼んでいる" 第7話
へびし、アパートの階段を気に駆けりた。
がもつれそうになりながら、の宅をった。 肺が破れそうに痛い。 たいを吸い込むたびに、気管がヒリヒリと焼ける。
どこへく? 警察署? いや、警察は民事の借や夫婦のトラブルには介入してくれない。 事実関係の証拠がなければ、また「庭内の諍い」として片付けられてしまう。
通りにたところで、が止まった。 タクシーの乗りの片隅で、息をえながら震える指でスマートフォンのアドレス帳をく。
。 義父が倒れた直、度だけ私の携帯に着信を残してくれた物がいた。
『正雄さんの友で、弁護士の清です。直子さん、何かしでも審なことや、困ったことがあれば、慮なく連絡をください』
当は、義父がくなったショックと義母からの圧力で、連絡することすらが回らなかった。 だが、あのすでに、清弁護士は何かを察していたのではないか。
画面の検索窓に「清」と打ち込む。 古いデータのに、事務所の固定話番号が残っていた。
発信ボタンを押す。 元で鳴る呼びし音が、永のようにくじられた。
回目のコールのあと、ガチャリと受話器ががった。
『はい、清法律事務所です』
「……あの、佐藤……直子と申します。正雄さんの、義理の娘の……」
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声が震えて、掠れて消えそうだった。 話の向こうで、息を呑む配慮の気配が伝わってきた。
『……直子さんですね。ずっと、気にかけていました。今、どこにいらっしゃいますか?』
穏やかで、しかし芯の通った初老の男性の声。 その響きに触れた瞬、決壊しそうになる涙を、唇をく噛んで押し留めた。
「先……お義父さんが、きていました」
受話器の向こうが、完全に静まり返った。
「解体事の現で……、れに閉じ込められていたお義父さんが、救されたんです。今、学病院の集治療にいます」
『……何ですって……!?』
静沈着なはずの弁護士が、言葉を失って絶句した。
『正雄さんが、きて……? 浩司さんたちは、に密葬を済ませたと……』
「嘘でした。全部、嘘だったんです。そして……お義父さんが、識を取り戻したに言いました。私の名を、浩司が使ったって……」
『直子さん。今すぐ、私の事務所へ来られますか』
清先の声のトーンが、瞬で鋭く切り替わった。
『タクシーを使ってください。所は駅の同ビルの階です。絶対に、浩司さんや子さんにはき先をらせないでください』
「はい……すぐに向かいます」
通話を切り、私は拾ったタクシーにび乗った。
*
駅にある古い雑居ビルの階。 法律事務所の応接には、分い法律が然と並び、独特のとインクの匂いが漂っていた。
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縁の鏡をかけた髪交じりの男性――清弁護士は、お茶を差しすすら止め、い表で私のに座った。
私が病院での来事、解体現の京錠、そして先ほどアパートで夫に暴力を振るわれそうになった経緯をすべて話すと、清先はく、痛ましそうに目を閉じた。
「……なんということを。まさか、そこまで常軌を逸していたとは」
「先、お義父さんは私の名が使われたと言いました。浩司さんは今、私の実印と印鑑証を血になって探しています。あのアパートで、体何が起きているんですか?」
清先は静かにちがり、執務の庫から冊の黒い革ファイルを取りしてきた。
「直子さん。落ち着いて聞いてください」
机のに、類の束が広げられた。 それは、〇の付の、ある融関の融資契約の写しだった。
『事業資融資契約証』 主債務者:株式会社佐藤ホームリノベーション 代表取締役 佐藤浩司 借入額:千万円
千万。 息が止まりそうになった。
「浩司さんの会社は、数から無理な事業拡で資繰りが完全に破綻していました。請けへの未払いがなり、からの規融資も止められていた」
清先が、類の最のページをめくった。
そこには、連帯保証の欄があった。
氏名:佐藤直子 所:夫の実の所 、話番号、そして――。
私の名が、黒いボールペンで、はっきりとかれていた。
「これ……」
指先が震えて、類に触れることすらできない。